Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第5話
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静かになった局長室に土方の煙が漂う
そんな中、少し俯いていた麻裕子が声をあげた




『・・・・・やっぱ・・・信じて貰えないよね・・・・』





ポツリと呟いた言葉に一同は押し黙る

沖田が静かに口を開いた





「麻裕子の世界の沖田総司って奴は土方を殺れましたかィ?」




「お前はなんつー質問してやがる!!」




その言葉に麻裕子は少し目を見開くとクスッと笑った





『私の世界の沖田は27歳ぐらいで結核で死んじゃうよ』



「・・・・・・マジですかィ」




『明確じゃないけどそれぐらいだった筈、土方歳三は35歳、近藤勇も確か同じく35歳、山崎は・・・あれ?なんだっけ?36歳だっけ?』




「・・・・別の世界の違う奴だってわかってても・・・同じ名前が死ぬ年齢を聞くのは気分が良いもんじゃないな」



「・・・そうだなトシ・・・俺なんか悲しくなってきた」




『あっΣ!!ごめん!!悪気はなかったんだけど!!・・・・ちなみに土方は仲間に撃ち殺されたって説が・・・』



「いらんわ!そんな情報ォォォォ!!!」




土方は吸っていた煙草を灰皿へ押し付けると大きくため息を吐いた





「・・・・・・違う世界か・・・」




「似てるようで違う世界・・・パラレルワールド的なもんですかねィ?」



「タイムスリップじゃなくて・・・こういうのトリップって言うんだろ?」




「トリップねぇ・・・そんな事が実際あるんだな・・・」





その言葉に麻裕子はガバッと顔をあげた




『・・・・信じてくれるの?』




そのあまりにも情けない顔に一同苦笑すると近藤が麻裕子の頭に手を置いた




「そんな顔をして嘘を言う子はいないぞ?」



そしてグリグリと頭を撫でる
その手の暖かさに麻裕子はポロリと一筋の涙を流す




「良く話してくれたな?今まで一人で辛かったろ?」




そんなとこを言われたら涙は止まるどころか余計に溢れるだけで・・・




『・・ううん・・・退くんが・・いてくれた・・から・・・でも、でも・・・』



零れる涙を近藤が親指で優しく拭いてやる




『本当は・・・怖かったァ・・誰も知ってる人いないし、独りぼっちだし・・・怖くて怖くて仕方なかったァー!!!』



近藤の胸に飛び込み、うわんうわん泣く麻裕子を彼は優しく包み込むとその背中を優しくポンポンと叩いた




「もぅ大丈夫だ、言っただろ?俺達は仲間であって家族だ。もぅ怖がる心配はない、ここのみんなは麻裕子ちゃんを一人になんかしないぞ?」





近藤の言葉を聞きながら麻裕子は子供の様に声をあげ泣き続けた
初めてみる彼女の気が緩んだ瞬間に土方と沖田らは何も言わず、優しく見守る




その泣き声は深夜まで屯所に響いていた










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