Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第4話
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「良いか?一番隊は正面から、二番隊は裏から一斉に突入だ」




土方の指示の元隊士たちがワラワラと上田屋を囲むように移動をする
そんな中、沖田が麻裕子の隣にやってくる



「いいですかィ?ドサクサに紛れて土方の額に一発撃ちこみなせィ」



「オイコラ聞こえてんぞ?誰の額に何を撃ちこめだァ?」



「『土方に決まってんじゃねーか』」



「よォォォし!!お前らいい度胸だ!!突入前に刀の錆になれェェェ!!」



「副長!!静かにして下さい!バレちゃいますよ!!」



山崎が慌てて土方を抑え込む
それを見ながら麻裕子は拳銃に銃弾が入っているかチェックしていく


そして無線に連絡が入った



"二番隊突入準備整いました!"




その声に二ヤリと土方が笑うと腹の底から声を出した








「テメーら気抜くなよ!?突入だァァァァァァ!!!!!!!!」








「「「「おォォォォォォォ!!!!!」」」」








掛け声と共に店内になだれ込む真選組
麻裕子も一番隊に混ざり拳銃を構えた


そして静かに引き金を引いていく




店内に木霊する隊士たちと浪士達の声
それに混じって聞こえてくる銃声


その銃声はテンポを崩すことなく



バン!バン!バン!と浪士達の体に命中していく



「流石だな」



その声に後ろを振り向けば背中を任せる様に立っている土方の姿
その事に麻裕子は驚き目を見開く







『信用してない奴には背中を任せられないんじゃなかったの?!』







目の前に迫りくる敵に銃弾を浴びせながら麻裕子が口を開いた







「誰もお前を信用してねェとはいってねーよ!」







後ろから聞こえる声に思わず目頭が熱くなる
零れそうな涙をグッと唇を噛みしめ耐えると2人の横から飛び出してきた敵に一発撃ち込んだ






『ボヘっとしてたら殺られるぞ・・・・・・・私に』



「お前にかよォォ!!??」




カシャっと麻裕子は新しい銃弾を装填する
その隙を狙って斬りかかってきた敵を今度は土方がぶった斬る



「お前もボヘっとしてっと斬られるぞ?」



『私はそんなヘマはしないよ!』






何とも息の合ったプレイにお互い自然と顔がニヤケる





・・・・・コイツに背中を任せるのも悪くねェ




そう思いながら目の前の敵をぶった斬っていく土方
返り血を浴び血まみれのその顔で細く微笑むその姿はまさに鬼



そんな土方を横目で見ながら麻裕子は的確に相手の急所に銃弾を撃ち込んでいく











最後の一人が倒れると麻裕子は拳銃をホルスターへしまった
そして振り返ると同じように土方も刀を鞘にしまっていた



「・・・怪我は無いか?」



自分を心配するような言葉に麻裕子は少し驚く




『私がやられるかってーの、それよりこっち来んな!血だらけじゃん!!』



「人が心配してやってんのに何だよ!?その言い方!?」



『返り血だらけの顔で瞳孔開くな!マジ怖いわっ!!』


「そうさせてんのは誰だよ!?」



『あ〜・・・はいはいマジうっさいなァ〜シローは・・・』



頭の後ろで手を組みぶっきら棒にそう言う麻裕子に土方は青筋を立てながら煙草に火を付けた








『・・・・でも・・・背中預けてくれてありがとう・・シロー・・・』









ポソリと呟いた麻裕子の一言に土方は思わず煙草を落とす
思わずニヤけてしまう口元を隠しながら土方は落ちた煙草の火をもみ消した




「・・・・・・何時もそれぐらい素直なら可愛いのにな・・・」



『あ?なんか言った?』



「・・・いや?別に?」





誤魔化す様に煙草を咥えると肺いっぱいに煙を吸い込んだ





"背中を預けてくれてありがとう"





頭の中で響く彼女の言葉

たかが、ありがとうと礼を言われたぐらいでこんなに嬉しいとは・・・

土方はどうにも収まらない口元の歪みを隠しながら一足先にパトカーへと向かって歩いていった






「麻裕子、無事でしたかィ?」


『あ、総悟。そっちも無事だったみたいだね?』


「土方は殺れましたかィ?」


『あ、ヤベ。忘れてた』


「ッチ。使えね―やつでさァ」


『テメーなァ、こちとら初現場だったんだぞ?そこまで余裕ないわ!!』


「なら次の機会の時は必ず仕留めなせィ」


『・・・・つーか、なんでそこまでしてシロー殺したいの??』


「土方だから」


『・・・・・まぁ、なんかわかる気がするわ』










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