・2 (完結)

□第四十八章
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「まだ、名無しさんが此処で生きて行く方法はあります!」




野田の一声に全員の目が光る
項垂れていた土方もゆるゆると顔を上げた




「・・・・・それは本当ですかィ?」




「はい。それにはまず、名無しさんの体の構造の話をしないといけません」



「名無しさんちゃんの体の構造?」



「はい、彼女は人間と体の仕組みが多少違います。それはご存じですよね?」


「あぁ」


「基本的に俺らと違うのは血と細胞。他の臓器などは人間と変わりありません」


「知ってますぜィ。血を飲んで兵器になるんですよねィ?」


「はい、実験により改良された自分の血を飲む事によって細胞が活性化し、潜在能力を最大限撫で引きだすといったところでしょうか」



「それが名無しさんちゃんの命とどう関係が?」



「血を飲む事によって細胞を無理やり活性化させるんです、体に負担がない訳ないでしょう」





その言葉に全員ハッとする

以前、土方が大怪我を負った際、名無しさんの血を飲み傷を塞いだあの時の苦しみ様を思い出した



「名無しさんの体には常にその血が流れている、そして闘う時にはそれを服用する・・・・・そしてその内、体の細胞は悲鳴を上げて壊れて行くんです」




「でも!俺はアイツの血を飲んで傷が塞がった!!って事はアイツの細胞だって治ってくんじゃねぇのか?!」



「それは他人が彼女の血を飲んだときのみです。彼女は自分の血で体を修復する力はない」



「なら他人の血を飲めばいいじゃねぇですかィ!?それで以前も名無しさんの傷は・・・・」



「それは一時的な物・・・というか結局は傷を治すために細胞が活性化して命を縮める事になります」



ぴしゃりと言い放つ野田




「・・・・んだよ・・・じゃぁどうやってアイツを助けるんだよ?」



少し弱々しい土方の声が漏れる
近藤たちの顔を見ても同じように少し落胆したようだった










「AOS156を使うんです」






そう言った野田は懐から最後の一本だったペン型注射器を取り出した
先程、話の前に取りに行っていたのだ

4人はそれをマジマジと見つめる



「AOS・・・156?」



「これは兵器のその副作用を止める薬になります」



その言葉に全員がバッと顔を上げた




「今まで彼女がラボで生きてこられていたのはこの薬があったから、頻度は分かりませんが定期的にこれを体内に注入して行けば何ら問題なく生活が出来る筈です」




そういうと野田はその注射器を土方に渡した
土方はそれをギュッと握ると力強い瞳で野田を見つめた








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