・2 (完結)

□第四十五章
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名無しさんは食堂を出ると野田に捕まっていた




「名無しさんさん?愉快な格好をされてますね?沖田隊長の仕業ですか?」



『あ、お構いなく、大丈夫ですから』




そう言うとフラフラと野田の横を通り過ぎようとしたが、その腕を掴まれた







「何が大丈夫なんですか?フラフラじゃないですか?ちゃんとご飯食べてるんですか?」






ガシっと掴まれた腕を振り払おうとしても、あまりの強さに振り払えない

野田はポケットから何かを取り出し、それを飲み込むとヒョイっと名無しさんが抱き抱え上げた




『!?ちょっ!!野田さん?!』




慌て暴れ出す名無しさんを余所に野田は縁側から庭に下りると屋根を見上げた



そして名無しさんの襲いかかる浮遊感



そう、野田は物凄い跳躍で一気に屋根の上に飛び上がった
そしてゆっくり名無しさんを降ろすと自分も名無しさんの隣に座った






「ここなら誰もいませんよ?アイマスク取ったらどうですか?」



『・・・・・野田さんがいるじゃないですか・・・』



「ん〜・・・じゃぁこうしましょう!」





そう言うと野田は名無しさんのスカーフをシュルっと解くと自分の顔に巻いて目隠しをした







「きっと泣いて目が腫れてて見られたくないんでしょ?俺は今目隠ししてて見れませんよ?だからアイマスク取って下さい?」






名無しさんはその野田の優しさにアイマスクを取った
その目は案の定、泣きすぎで腫れあがっていた







『野田さんは何でもお見通しなんですね・・・』



「そんなことないですよ?」



『何時も何も言わなくても、具合悪い時栄養ドリンク持ってきてくれるじゃないですか』



「あはははっ、たまたまですよ!たまたま!」



『・・・・・・何で泣いてたか聞かないんですか?』



「・・・・・・・聞いたら教えてくれますか?」



『・・・・・・・・・・・』



「・・・・・・まぁ、大体は分かりますけど・・・」





そう言う野田に名無しさんは目を丸くさせた





『・・・分かる訳ないですよ・・・分かりませんよ・・・』




その悲しそうな、今にも泣きそうな声に野田は手探りで名無しさんの手を掴むと両手で包み込むようにしてくれた
小刻みで震える手
野田は片手を離すと名無しさんの頬を優しく撫でた




「ほら、また泣くと目が腫れてしまいますよ?」



『・・・ぅぅ・・・は・・い・・・』




「名無しさんさん、俺は名無しさんさんに言わなきゃいけない事があるんです」



『え?』



「名無しさん名無しさんさん









いや





名無しさん名無しさんさん」






そう呼ばれた事に体がビクッと反応する




名無しさん名無しさん



それは彼女の本名
それを知る者は土方たちの4人しかいない筈





なぜ野田さんが知ってるの?!




いきなり湧いた恐怖心に体が硬直する






でも野田は名無しさんに優しく微笑みかけ
そして衝撃的事実を口にした









「俺の本当の名は









名無しさん葵です」







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