・2 (完結)

□第四十三章
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クーラーのガンガン効いた自室で名無しさんは死体の様に突っ伏していた




あ〜クーラー最高!
人間の文明最高!
クーラー考えた人めちゃくちゃ偉いです!
私はもぅ今日は此処から動きません!!



「おーい、名無しさん入るぞ・・・って、うおっ!!寒っ!!お前何度にクーラー設定してんだよ!?」



ガラッと襖を開け入ってきた土方はあまりの部屋の温度差に襖を全開に開けた




『あ、ダメです!!冷気が逃げちゃう!!』



「アホか!?こんなに寒くしやがって!!外と中の温度差あり過ぎで風邪ひくわっ!!」



ペシンと頭を叩かれ渋々クーラーの設定温度を変える



『・・・んで?何の用ですか?』



少し不貞腐れた名無しさんが土方を睨みつける



「んな顔したって怖くねえよ、逆に誘ってんのか?」


『暑過ぎて脳みそ溶けましたか?冷凍庫入って来て固めたらどうですか?』


「おうおう反抗的じゃねーか、名無しさんちゃん?」


『もぅ、タダでさえ暑いんですからあんま余計な事やらないで下さいよ、で?何の様なんですか!?』





名無しさんの苛々度に苦笑すると土方は5〜6枚の書類をポンと渡した






「今日中に提出する書類なんだわ、俺は今から会議だしよ、わり―けどやっといて貰えるか?」



『誰の補佐官だと思ってるんですか?土方さんの会議終わるまでにやっておきますよ!』





ニッと笑うと土方も同じように笑い




「流石、俺の補佐官様」



と言い残し部屋を出て行った




すぐさま名無しさんは机に向かい書類に取りかかる
ぶォ〜っとフル回転するクーラー
その冷気を背中に受けながらペンを走らせた


彼女が本気を出せばこんな書類は物の10分とせず終わってしまう


出来あがった書類をクリアファイルに入れ、机の上に置く

そして再び名無しさんは畳の上に突っ伏した




途端




いきなり激しく咳き込んだ

ヒューヒューなる気管
収まらない咳
息も出来ず苦しさから涙が溢れだす





「名無しさん!?大丈夫ですかィ!!??」




丁度部屋の前を通りかかった沖田が咳き込む名無しさんに気が付き部屋へ入ってきた


名無しさんが苦しげに沖田に目をやると



「今水持ってきやすから!」



と部屋を飛び出した

すぐさま500mlのペットボトルを持ってくると名無しさんの体を支え、少しづつ飲ませてやった



なんとか咳は止まったが胸がヒューヒュー言う



「大丈夫ですかィ?」


心配そうに顔を覗き込む沖田に名無しさんは苦笑しながらこくんと頷いた



『炎天下の下に居たのに、一気にクーラー効かせたから風邪ひいたのかも・・・』



少し青い顔の名無しさんをガバッと抱えると沖田は縁側に出た



『そ、総悟!?なになに!?どうしたの!?』



落ちそうになり必死に沖田の首にしがみつく名無しさん
縁側に連れてくると「ちょっと待ってなせィ」といってどこかへ消えてしまった


照りつける太陽の下
待つ事3分


大きなタライと麦わら帽子を抱えた沖田が戻ってきた



『?・・何するの?』



不思議そうにする名無しさんの頭に麦わら帽子を被せると、ホースでタライに水をはり出した



「クーラーなんて体に悪いもんじゃなくて、こっちで涼みなせィ」


そう言うと水の溜まったタライの名無しさんの足をつっ込ませた



『ひゃっ!冷たっ!!』


「これでも十分冷えるだろィ?」


ニッと笑うと沖田も名無しさんの隣に座りスボンを託し上げ同じように足を突っ込んだ



『確かに・・・気持ちいいかも・・・』



パシャパシャと足で水をかき混ぜながら涼をとった

丁度そこに返ってきた山崎も呼んで3人で仲良くタライに足を突っ込む



「大分温くなってきやしたねィ。オイ山崎氷持ってこいや」


「え?!なんで俺!?今来たばっかなのに!?」


「地味の分際で生意気いってんじゃねェ、行かねぇならこのタライいっぱいの血ださしますぜィ?」


「どんだけ垂れ流さす気ですか!?死にますよ!?つか地味関係なくね?!」


「さっさと行けよ、ジミー」


「っく・・分かりましたよ氷ですね」




渋々タライから足を出して台所へ向かう山崎
名無しさんは一言ごめんね、とその背中に投げかけた

そして氷を持ってきた山崎の手には何やら他の物も・・・・

見ればかき氷を作る奴とイチゴシロップ



「トメさんが貸してくれました、かき氷作りませんか?」



その言葉で急きょ始まった縁側でのかき氷パーティー

半分の氷はタライに入れて半分はかき氷機にセットした






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