・2 (完結)

□第四十三章
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太陽がガンガンと照りつける中、2人はくだらない会話を楽しんだ

どこのお蕎麦屋さんが美味いとか、あそこの団子は最高だとか
そんなくだらない事


そんな中、名無しさんの携帯が鳴り響いた
ディスプレイを見ると「退くん」の文字


名無しさんは桂にしーっと言うと通話ボタンを押した




"あ、名無しさんちゃん、今大丈夫?"


『はい、何ですか?』


"この前頼まれてた件なんだけど、調べが終わったよ?"



『ありがとうございます、で、どうでしたか?』


"特にこれと言うものは・・・ただ、彼は今の家の子供じゃなくて養子みたいなんだよね?"


『養子?』



"そう、7年ほど前ぐらいから薬屋の養子になったみたいなんだ、それ以前は親戚の家を転々としてたみたい"



『そうですか・・・分かりました!忙しいのに余計な事頼んですみません』



"大丈夫だよ!じゃァ俺今日は帰れるから一緒に夕飯食べようね"



そう言って切れた電話
桂は盗み聞きをするようにぺたっと携帯に耳をくっつけていた



『盗み聞きとはいい度胸ですね?カツ兄・・・敵である真選組の情報を・・・』



ペキペキと指を鳴らし桂の前に立ちふさがる名無しさん
逆光で表情は見えないがオーラがハンパない



「すまんすまん!悪気はなかったんだ!ただちょっと敵の内情を知ろうかと・・・」


『それをいい度胸ってゆーんですよォォォォ!!!!』



ドゴォ!!



桂の顔面に名無しさんの拳がめり込む

鼻血を拭きだす桂に名無しさんは溜息を吐くと隣へ座った



「して、今の電話の内容の男・・・もしや野田葵とか言う奴じゃないか?」


桂が野田を知っている事に名無しさんは驚く



『な、なんでカツ兄が知ってるんですか?!やっぱ彼は攘夷志士!?』


「いや、それはない。ただ彼の拾われた薬問屋が結構な老舗でな、20歳にもなる男を養子にとったと一時期話題になっていたので」


その言葉に名無しさんはほっとする


『良かった・・・じゃぁ攘夷派ではないんですね』


「あぁ、腕の立つ奴と聞いて仲間にしたかったが、頑なに戦う事を嫌っていてな・・・何故そんな彼が真選組なんぞに?」



『・・・・さァ・・それは分かりませんけど・・・。そんなに戦いを嫌っていたんですか?』



「あぁ、俺も何度もスカウトに行ったんだが」



『スカウトって・・・アイドルじゃないんですからι』





そこまで話して公園の時計をいると13時を過ぎていた




『あ、いけない!見回りの時間すぎちゃってます!!戻らないと!!』




慌てて立ちあがる名無しさん
ゆっくり桂も立ちあがる



『それじゃぁカツ兄、帰り道、真選組に気を付けて!!』


「目の前に居るんだがな」





くすりと笑うカツ兄に同じように笑うと名無しさんは屯所へ向かってかけだした




その帰り道、暑さにやられたのか、はたまたそれ以外のせいなのか、名無しさんは体に異常を感じていた



やたらと体が重い
息が切れる


ギンギンと照りつける太陽の下
噴き出る汗を拭いながら名無しさんは必死に走って屯所へと戻った






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