・2 (完結)
□第四十三章
1ページ/6ページ
季節は夏
煩くセミが鳴り響くこの季節
やたらとそれが耳について離れないこの季節
なにもしないでも汗が噴き出るこの季節
長い髪が首筋にくっついてうざったいこの季節
まァ、一言でいってムシャクシャする季節です!
『あ〜・・・なんで隊服ってこんなにガッチリしてるんですかァ〜ι』
上着を脱ぎ捨てYシャツとベストだけになり、公園のベンチに腰掛けた
只今見回り中
今日のペアの総悟は目を離したすきにどっかに逃げて行きました
もぅ暑いので探しに行く気にもなれません
名無しさんはコンビニで買ったアイスの袋を破くと口に咥えた
あ〜・・・冷たくて美味しいィィ〜!!
暑さですぐ垂れてくるアイスを舐めながら流れ出る汗を袖で拭った
あ〜暑い〜
マジ死ぬ〜
夏なんて季節に外出るのは馬鹿がアホかマゾぐらいですよ〜
誰もいない公園で項垂れる名無しさんに長髪男が近づいてきた
「久しいな名無しさん、元気にしてたか?」
『・・・・・・』
このクソ暑い中長髪を靡かせえる男
桂小太郎
名無しさんは無言で桂に近づくとカシャンとその手首に手錠をかけた
「っちょ!何してんのォォォォ!!??俺だぞ!?カツ兄だぞ?!忘れたのか!?記憶喪失か!?」
『馬鹿ですか?自分の立場忘れてるんですか?貴方こそ記憶喪失ですか?貴方は攘夷浪士、私は真選組、会えば捕まえるのは当たり前です』
「くそぅ!!気がつかなんだ!!」
『馬鹿ですか?馬鹿なんでしょう?つーか、暑苦しいんでそのヅラ早く取って下さい』
「ヅラじゃない地毛だ!自分だって髪長いだろォ!」
『私は地毛だから仕方ないんです、でもカツ兄はねぇ?』
「だから地毛ェェェェェ!!!」
『はいはい、分かりましたよ?恥ずかしいですもんね?その年でハゲちゃったなんてね?分かってますよ?もぅ手の施しようがないんでしょ?』
「手の施しようがないのはお前の頭だろ!ってか、手錠外せ」
『無理です、カツ兄を捕まえれば私に特別手当出るんで』
「金で俺を売るのかァァァァ!!!??」
『冗談ですよ。ほら、こっち座って下さい?』
そう言うと名無しさんは自分の隣に座る様に促した
そして桂の懐に手錠の鍵を入れる
『私は手錠を外せませんから、後でお友達にでも外してもらって下さい?』
手錠をかけていれば、周りに怪しまれることなく会話が出来る。という名無しさんの配慮に桂は少し頬を緩ます
・