紅天女
□第六章
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ピピピ。ピピピ。ピピピ。
軽快な音が鳴り響き、モソモソと布団から出てきた土方は少し眠そうに目覚まし時計を叩きつけた。
大きく欠伸をして、グンと背筋を伸ばし布団から這い出てきた。
昨日はあんま寝れなかったな・・・・。
着流しをスルスルと脱ぎ、道着に身を包む。
なぜ彼が寝不足なのかと言うと、昨日名無しさんを抱きしめた感触が体から抜けず一人モンモンとしていたからである。
(違げェ!!モンモンなんかしてねぇ!!!)
・・・そうなの?・・・
まぁ、そんなこんなで若干寝不足な彼だったが、今日は名無しさんが初めて隊士たちに稽古を指導する日。
流石に初日から彼女一人に任す訳には行かないので一緒に参加する事になっている。
今の時刻は朝の5時。
普段仕事もある彼らは昼間どうしても稽古の時間が裂けれ無い事もあったりするので、合同稽古は早朝に設けられている。
袴をギュッと締め、深呼吸を1つし、気合いを入れ直し道場へと向かった。
道場へ行く手前、ふと、縁側に見覚えのある人影を見つける。
え?っと思い近寄ると、昨日と同じ形でそこに座っている名無しさんの姿だった。
吃驚して駆け寄ると昨晩と同じようにぼーっと空を眺めている。
「おい!名無しさん!!!」
いきなり後ろから怒鳴られビクッと体が飛び跳ねる。
『はい!!??あ。土方さん!おはよ・・・』
””おはよううございます”と言おうとたがその言葉は怒鳴り声に遮られた。
「お前何やってんだ!?昨日からずっとそこに居たのか!?」
後ろで仁王立ちして青筋立てまくり、瞳孔開きまくりの土方に名無しさんの目が泳ぐ。
『・・・あ〜・・・その〜・・・』
もごもごしていると更にどす黒いオーラが土方から放たれる。
良い訳する前に逃げよう、と、
稽古着に着替えてきます!と一言残し、猛ダッシュでその場を後にした。
・・・・私がいくら兵器で強いと言っても、あの形相はめちゃくちゃ怖いですι
慌てて着替えながら先程の土方の形相を思い出して一人身震いをした。
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