繊月の猫(完結)

□Chapter 4
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あれから一週間、土方は一日も欠かさずコーヒー・紅茶専門店aphroditeに通っていた


座る席は何時も決まってカウンターの一番奥の席
そしてそこに座ると何も言わずして出される灰皿
通い始めて3日目に皿では無く灰皿を出された




わざわざ用意してくれたのか・・・




と言う甲し訳ない気持ち以上に嬉しい気持ちが勝ったのは言うまでもない


そんな土方だったが彼以外のお客さんが入っている時は流石に煙草を吸うのを我慢した
もともとこの店は禁煙
"お得意様の上司"と言う肩書に甘えて吸っていたが他の客の前ではやはり気が引ける
それに自分に便乗して他の客が吸い始めては申し訳ない
そんな時は彼女が黙ってハッカの飴を手渡してくれた



ニッコリと笑って「すみません」と言う彼女
それを口に入れ土方は口寂しさを紛らわす



近藤さんは良いオーナーだと褒めていたが
本当にそうだな・・・
彼女の気配り、気前の良さ、気のききよう
どれをとっても申し分ない


そんな事を思いながらコーヒー・紅茶専門店aphroditeは土方のお気に入りの場所となっていた








そんな訳で今日も忙しい仕事の時間を縫ってその店に来たのだが






「・・・・・休みかよ・・・」





店の前にかけられたcloseの看板

そうなのだ
この店の営業時間は彼女の気分
毎日同じ時間に来てもやっているという保証はない

土方は、はぁと溜息を洩らすと休憩時間何に使うかな・・・と考えながら街にでた



















『すみません、荷物持って頂いて・・・』


「いーのいーの、困った時はお互いさまっていうでしょ?お礼はこの中に入ってるプリンでいいから」


『あら、凄い!よくプリンがあるって分かりましたね!』


「糖分王を舐めるなよ!」



そう言って麻裕子のスーパーの袋を持つ銀時
ゆっくり歩く彼女のペースに合わせゆっくりと歩いてやる



『でも本当に助かりました、まさか犬の天人に絡まれるとは思ってませんでしたから』


「あ〜茶斗蘭星の天人ね〜」


『ちゃらんぽらん星?』


「あながち間違ってないけど、茶斗蘭星ね?所で家遠いの?」


『あ、もう少し先です、やっぱり重いですよね?此処までで大丈夫ですよ?』


「何言ってんの、俺男だよ?筋肉もアッチもカッチコチだってーの」


『ふふふ、じゃぁお言葉に甘えますね?』


「甘えなさい!銀さん甘いの大好きだから」




そう言いながら2人は仲良く店の方に歩いていく





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