繊月の猫(完結)

□Chapter 3
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「黒猫だ!!黒猫が出たぞ!!!」




俺らの耳に届いたのは作戦の成功を叫ぶ声では無くて、面倒臭いアイツが出てきた知らせだった



「総悟!今日は逃がすなよ!!」



俺は総悟にそう叫ぶと刀を抜き声のする方へ駆けだした



「土方さん!斬りますかィ?捕らえますかィ?」


「場合によるが、出来れば捕らえろ、抵抗する場合は斬れ!!!」


「了解!」



そう言うと総悟は右方向に、俺は左方向に走り出した
すばしっこい黒猫を挟み撃ちする作戦だ







黒猫

それは今俺らが一番手を焼いている人物

男か女かすら分からない
その容姿すら謎だ
何時も黒い服を身にまとい
フードを深く被り、顔にも布を巻いている
そしてそいつに連れ添うように傍に居る大きな黒豹

なぜそいつらに手を焼いているかと言うと
何時も俺らの先回りをして攘夷派の人間を殺して回っているからなのだ


俺らが攘夷派を斬るのは良い
大義名分がある

でも奴はそうじゃなたい
ただの殺人犯だ

そんな奴を野放しにして置くわけにもいかず、俺らはそいつを捕まえるのも任務に追加されたのだ







声のする方に走っていくと目の前から黒ずくめの人間が走ってきた


黒猫だ!


俺はそいつの前に躍り出て刀を向ける



「御用改めである!真選組だァ!!!」




黒猫はピタリと足を止めるとフードの隙間から真っ直ぐと土方を見た
その瞳からでもゾクゾクと伝わる威圧感
それに一瞬だけ鬼の副長ともあろう土方は身震いをした



コイツ・・男か?
女か?



見定めるようにその姿を睨んでいると黒猫が声を出した





「・・・真選組の土方十四郎だな・・・」





その低い声に男だと言う事が分かった




「ほぉ・・・俺を知ってんのか?」


「あぁ、鬼の副長として恐れられてはいるが腕はそこまででは無いんだろう?」



少し嘲笑うかのように吐かれたセリフに土方はッチっと舌打をすると地面を蹴り、大きく振りかぶった




「それは自分で確かめやがれぇぇぇぇ!!!」






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