繊月の猫(完結)

□Chapter 2
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『今日も天気がいいですね〜』



openの看板を出しながら店の前を少し箒で掃除をする女


その姿は仕事着でギャルソンの恰好をしていた
まだあまり西洋文化が発達していないこの時代に少し珍しい格好


白いシャツに黒のベスト
そして黒のタイトスカートに足先まで隠れるぐらいのエプロンを腰に巻いている



掃き掃除が終わると店先に出してあるロッキングチェアーを拭きだした

まずは水ぶきをして、次は乾拭き、最後に木目用のワックスを塗って光沢をだす




我ながら完璧だ!




輝きだす木目にうっとりと目を細めると、今日の分のコーヒー豆の配達を待つ事にした



折角天気も良い事だし、外で待つか



そう考え、今磨き終えたばかりのロッキングチェアーに腰を降ろした
キーキーっとゆっくり揺れながら空を見上げる
空は限りなく青く
そしてとても眩しい



心地よい揺れと、優しい風に吹かれながら女はゆっくりと瞼を閉じた

















「・・・・なんだこの女?」


土方はaphroditeの店の前で佇んでいた

この前のコーヒーの味が忘れられず、休憩時間に店に訪れてみたのだが
その店先のロッキングチェアーで転寝をする女に目を丸くした

ギャルソンの恰好をしているから従業員か?と店内の様子を伺うと店の中は蛻のから

やはりこの女が店員か?

顎に手を置きながらどうするかな?と考えていると、今まで寝ていた女がイキナリ目を覚ました



『・・・ん?・・あ、寝ちゃってた・・・』



呑気に欠伸をしながらう〜ん、といって伸びをする女
土方は少し戸惑いながら声をかけてみた



「アンタがこの店の主か?コーヒー飲みにきたんだけど・・・」



そう言うと女は一瞬何を言われているのか分からない、と言うような顔をしたがハッと意識を取り戻すと慌てて椅子から飛び起きた



『す、すみません!私がこの店のオーナーです!どうぞお入りください!!』



慌てて扉を開けて土方を中へ促す
それに続いて土方も店内に入って行った





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