Love Hunter(完結)

□其の十三
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どうも、今日のナレーターは俺、山崎退です。

実は先日、まゆこが俺の前で泣きました。
正直びっくりしたけど、なんか、嬉しかったっていうのも本音。

だって泣き顔って心許した人ぐらいしか見せないでしょ?
まして、あのまゆこだよ?
優しくて、気の効いて、働き者で、決して人に甘えない様な子なのに。
その子が俺に泣き顔を見せてくれた。

こりゃアレでしょ?
俺の事やっぱなんだかんだで好きなんでしょ。
えへへへ、照れる。
それに〜それに〜それに〜、チューしても怒んなかったし!怒るどころかちゃんと応えてくれたしィ〜♪

何があって泣いてたかは知らないけど、俺の愛で畳みかけるにはいいチャンスかもしれない。
"山崎さんって頼りがいがあって素敵!大好き!愛してる!!"
ってなるはず。
まだ未開封のコンドームだって箱を開けるチャンスが来るはず!


そんな訳で俺は最後の畳みかけと称して、まゆこへのストーカー行為を強化した。










「まゆこ!買い物行くの?」

『っ、や、山崎さんっ・・・え、っと、はい、買い物に・・・』

「んじゃ俺荷物持ちで着いてったげる」

『え?け、けど仕事は?』

「大丈夫大丈夫!あとは報告書出すだけだから!副長に見つからなきゃ問題ない」

『けど、悪いんで大丈夫ですよ?』

「けどどうせ副長のマヨネーズも買い物リストに入ってるんでしょ?マヨネーズ何個も買ったら重いじゃん」

『けど!けどけどけど本当に大丈夫なんで!!お気づかいなく!!!』


そう言って猛ダッシュで走って行ってしまったまゆこ。


何アレ?


今の会話だと俺がウザい人見たいに聞こえた?
ん〜・・・画像をお見せできないのが残念なんだけどね?今ね?まゆこの顔が真っ赤だったんだけど。
ワタワタしちゃって、なんか目も潤んじゃって、頬ピンクに染めて・・・・何アレ何アレ何アレ何アレ何アレ何アレ何アレ何アレ!!!!????
めちゃくちゃ可愛かったんだけどォォォォォォォォォォォ!!!!????
ヤバい!ヤバいヤバいヤバい!!勃っちゃう!!ぁの顔に俺の息子が元気になっちゃう!!
明らかじゃん!?すげー明らかに俺を意識してんじゃん!?
今までは普通に顔色一つ変えないで俺に接してたってゆーのに、何アレ!?
やーばーいー!!!
ギューギューしたい!!ペロペロしたい!!チューチューしたい!!


今すぐにでもまゆこに抱きつきたい衝動を押さえて俺はこっそりと彼女のあとをついていった。




どうやらはやり買い物のようだ。
この大通りを行けば大江戸スーパーもあるし、大きなドラックストアもある。
ついでに言えば、その先をずっと行けば万事屋もあったりする。
まゆこはその道をひたすら真っ直ぐ歩いている。
こっそり後を追うなんてお手の物、それが俺の仕事でもあるし、まして素人の好きな子を追うなんて朝飯前。
あぁ、俺、監察やっててよかった!って思いながら電柱柱の陰から彼女の姿をみやった。


しかし、予想外なことが起きた。


まゆこがスーパーに立ち寄らなかったのだ。
スーパーじゃないならドラックストアで買い物?とみていると、そのドラックストアも通り過ぎていく。
一体どこにいくんだろう、と尾行を続けると、意外な場所で彼女の足が止まったのだ。


その場所は万事屋の前。


「え?なんで?」


そりゃ万事屋の旦那ともまゆこは顔見知りだし、いや、顔見知りというより友達に近い、結構仲が良い。
なのでこの場所に来ても不思議ではないのだが、一番不思議なのは今は仕事の時間だということだ。
彼女は仕事に対しては真面目さん。
なので勤務時間中に誰かのところに遊びに行ったりはしないのだ。
そんな彼女が仕事ではなく、自分の意志で万事屋の旦那のところに来ている?

その事に俺の中で言いようのない焦りが沸き起こった。


「あ、あれ?俺のこと意識し始めてたよね?あれ?あれれれ?なのに万事屋の旦那のところに内緒で来てるって何それ?どういうこと??」


焦りは俺の足を勝手に早める。
電柱の陰になんか隠れてらんない。今すぐ彼女のところに駆け寄って、声をかけて、彼女の思考から旦那を取り除かないと。


その時だった、まゆこはガラッと木戸をあけて中に入っていてしまったのだ。


「・・・・え?なんでそっち?」


そっち、というのはスナックお登勢にまゆこが入ってしまったから。
万事屋の旦那のところに行くのかと思っていたらそれは大きな間違いだようだ。

なんだ、よかった・・・。

安堵の息をついたのもつかの間、なぜ彼女がお登勢のところに行ったのだろう?
そんなに仲が良かったとは聞いていない。
っていうか、顔見知りでもないはずだ。
なのに何故彼女はスナックお登勢に??

よくわからない謎が胸の中をもやもやさせる。
そして、ふとある女性の顔が頭によぎった。
それは"たまさん"だ。
スナックお登勢にはたまさんがいる。


「・・・・・・あれ?まずい?」


たまさんは以前、俺が好きになってストーカー紛いの事をしてしまった女性だ。
そんな事はないと思いたいが、万が一にもそのことをばらされたらまゆこの俺への印象が最悪になってしまうかもしれない。
現に局長はまるで蛆虫でも見るような目つきで見てるもん!!!

焦った俺は一気に駆け出すと、けたたましくスナックお登勢の木戸を開け放ったのだった。





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