Love Hunter(完結)

□其の十
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「まゆこ〜♪ただいま〜♪今日からまた一緒に寝れるよ〜♪寂しかった??」


スパンっ!!


「ちょっ、なんで襖閉めちゃうのさ!?早く入っておいでよ、髪乾かしてあげるから」


"玄関開けたらサ○ウのご飯"ってCMを思い出しました。
どうやら監察の仕事が終わって屯所に戻ってきていた山崎さん。
私がお風呂に行ってる間に部屋に潜り込んできたみたいです。
ちょっと久しぶりな光景+心の準備が出来ていなかったので襖を思い切り閉めてしまいました。


『・・・山崎さん、おかえりなさい』


しっかりと心を落ち付けて再び襖を開ければすでにドライヤーを持って布団の上に座っている山崎さん。流石、行動早いです。


「ただいま。あ〜やっぱいいね〜」

『何がですか?』


そう言って大人しく山崎さんの前に座ると温風を髪に当ててくれた。
自動髪乾かし機?まぁ便利っちゃー便利か。


「ん〜、やっぱ帰ってきて"ただいま"って言える相手がいるっていいよね」

『・・そんなの・・屯所には沢山の人がいるんですから別に私じゃなくても・・』

「何言ってんの、俺の好きな人はまゆこなんだよ?やっぱ好きな人におかえりって言ってもらいたいじゃん、そこらへんのムサイ野郎共に言われんのと訳が違うよ」

『そう、なんですか』


好きな人に"おかえり"と言ってもらいたい。
その気持ちは分からなくもない。
帰ってきた、って実感がより一層あるのだろう。



『それにしても今回の監察のお仕事は長かったですね』

「んー、まぁねー、張り込みみたいなもんだからそんなに精神的に疲れるもんじゃないけど」

『あ、ならまたアンパン生活だったんですか?』

「あはは、まぁね。当分はアンパンなんか見たくないほどアンパン食べてきたー」

『アンパンも良いですけどアンパンと一緒に他の何かも食べればいいのに・・体に毒ですよ?』

「えへへー、ねェねェ、それって俺の事心配してくれてんの?」

『そ、そりゃっ!!情報持って帰れなかったら他の隊士さんたちのご迷惑になる訳ですし!!』

「そっちの心配かよ、ちぇー」

『他になんの心配をすればいいんですか、全く』


はァ、と溜息をつけばブォーっと当てられていた温風がピタリと止まった。
そして温風の代わりに別の温かさが背中に圧し掛かってきた。
山崎さんが後ろから抱きついてきたのだ。


『ちょっ!何してっ!!』

「もっとさー浮気してないかな?かと私が相手してない分右手と仲良くしてるのかな?とか私で抜いてるのかな?とか他の心配はないのー?」

『どんな心配ですか?!むしろ考えたくも無いんですけど?!』

「えー?ちなみにまゆこは俺を思ってオナ・・ブホぅぅっ!!!!??」

『それ以上言ったらぶっ殺す!!!!!!』



耳元でとんでもない発言をしようとした山崎さんの鳩尾に思い切り肘を入れてやった。
アホかっつーの!!なんで私がそんな事しないといけないのよ!!
かなり力強く入れてやったというのに、何故か山崎さんはのた打ち回りながら嬉しそうに笑ってる。

・・・怖っ!!!
激しく殴り過ぎて頭可笑しくなった?!


と思っていたらのた打ち回っていた体をスルスルと布団の中に潜り込ませてきた。そして自分の隣をポンポンと叩く。


「もぅ寝よ?」


その行動の意味が分からず大人しく隣へと潜り込むと横からギュッと体を抱きしめられてきた。
ちなみになんか当たってるんですけど?
何で殴られて勃ってるんですか?
Mですか?
ドMだったんですか山崎さん。
マジキモいんですけど。


完全に硬直してしまった私に山崎さんはワザとらしくこれでもかと下半身を擦りつけて来て思わずそれをへし折ってやろうかと思った時だった。


「やっぱまゆこだーい好き」


と言う声が聞こえてきた。


本当にズルイと思う。
なんですか、スリスリスリスリおでこを私の首元にすり寄せてきて。
犬ですか?犬なんですか?幕府の犬って言うけど本当に犬みたいじゃないですか。


へし折ろうとしていた手を引っ込めて大人しく抱きつかせといてあげると首元でクスクスと笑い始めた。


「蹴られても殴られても何されても俺はやっぱまゆこの事が大好きだよ。だから俺の事蹴っても殴ってもいいけど・・・俺の気持ちだけは否定しないでね?」


甘えるように、縋る様にそう言ってくる山崎さんは、なんか物凄く可愛く見えました。
なんだ、今日は変態山崎さんじゃなくてデレ山崎さんなのか?
チョクショウ、可愛いじゃねーか。
疲れてるのかな?だから何時もみたいにガツガツ来ないで甘えてるのか?


今日ぐらいはこのまま寝てあげよう。









そんな気持ちを山崎さんは見事に踏みにじりました。


「・・・はァ、はァ、まゆこ、このまま○○○擦りつけてイッちゃってもいいかなァ、はァはァ」

『いぎゃァァァァァァァァァァァ!!!!!!!変態ぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいい!!!!!』




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