大江戸愛情物語(完結)
□第十九訓
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『・・・やっぱ辛い・・・』
そう言いながらヨタヨタと歩いているのは真選組局長補佐官、兼副長補佐官、兼一番隊隊長補佐官、兼監察方補佐官の柏村まゆこ
まぁ、つまりは雑用係な彼女
そんなまゆこはフラフラとおぼつかない足取りで左手を壁につきながら歩いていた
右手は腹を押さえて、若干その表情は青い
不快な体を引きずる様に来たのは副長室
何も言わずその襖を開くと土方が机に向かって書類を書いていた
『ふェ〜・・・トシくん・・・』
少し涙目になりながらヨタヨタと彼に向って歩いていけば、書類を眺めていた視線をまゆこに向け、困ったように笑った
「随分辛そうだな」
そう言って胡坐をかいていた膝をポンポンと叩く
それにまゆこは嬉しそうに笑うとゴロンと寝転がって土方の膝枕に飛び込んだ
『めちゃくちゃ辛い・・・なんか苛々するし、食欲も無くなっちゃったし・・・』
「まァ・・俺は女の体の事は分かんねェけどよ、そんなに辛いなら今日は休みで構わねェよ」
そう言って右手で書類を持ち、空いた左手でまゆこの頭を撫でた
その手が気持ちよくて思わず目を細める
『あ〜やっぱ生理2日目は死ぬぅ〜・・・』
そう、まゆこは妊娠をしていなかった
あの後、土方に抱きかかえられ部屋を出た途端、下腹部に感じるヌルっとした感覚に慌てて厠に掛け込むと案の定生理がきていたのだ
生理は不思議なものでメンタル面も影響する
不安でいっぱいだった少女の心を土方が溶かしてくれたのだろう
ただ今まで遅れも無くきちんときていた生理が6日も遅れてしまい、今回の生理は何時も以上に辛い物になっていた
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