大江戸愛情物語(完結)

□第十七訓
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『・・・・うっし、逃げよう!!!』



朝起きたら隣に高杉の姿も無く、一人部屋に寝ていたまゆこは手早く身支度をすると一つだけある窓の前に立った

窓は備え付けで開ける事は出来ない


割るしかないか・・・


チラリと窓の外を見れば下は海で、飛び降りれればなんとかなりそうだった


何か窓を割る物・・・


部屋の中を見渡す
有るのは布団、屏風、机、箪笥、花瓶
それぐらいだ



『まずは花瓶で・・』



一番手ごろな花瓶をもつと勢い良く窓に投げつけた
最悪、その窓の割れる音で誰かが来てしまうかもしれない、けれども、素早く海に落ちてしまえば・・・
微かな希望を胸にその花瓶を窓に投げつけた




ガシャァァァァァン!!!!!



と激しい音と共に砕ける花瓶

窓は一つの傷も付いていない




『・・・・なんでェ〜???』


「そりゃ防弾ガラスだからよォ」



後ろから聞こえる声にビクッと振り返ると壁に寄り掛かって鋭い目で自分を見ている高杉がいた




『・・・・あ・・・・』


「何してんだ・・・逃げようなんて考えてる訳じゃあるめーな?」


『・・・っ・・・・』



じりっとまゆこに近寄る高杉
まゆこはその獣の様な瞳を睨み返すと凛とした声で言い退けた




『みんなのとこに帰る!!!!!』




それに高杉はチッと舌打をするとまゆこの腕を掴み布団に投げつけた
無様に倒れ込み、何すんのよ!と体を起こした瞬間、首筋に冷たい物が当てられる


刀だ


その冷たく鋭利な感触
そして首筋に流れる生温かい物


少し斬られた


その気持ち悪い感覚に眉を寄せると高杉が口を開いた




「帰すとでも思ってんのかよ」



そう言う彼は何時も以上に恐ろしい雰囲気で、きっと反抗をすれば躊躇なく首を跳ねるだろう・・・そう感じたまゆこは静かに声をだした




『・・・私が此処にいる理由はないでしょ』




その言葉に高杉の瞳が細まる
そして口端が甲を描いた



「オメ―は俺のモンなんだよ」


『私は高杉の物じゃない』


「なら俺のモンになれ、まゆこ」


『・・・なんで・・・』


「俺の鳥籠に入れ、そうすりゃ羽を捥いで、足の筋を切って、二度と飛べねェ様に・・・逃げねェ様にしてやるよ」



くつくつと喉を鳴らしながらそう言う彼の表情は狂気的でまゆこは思わず視線を逸らした




『・・・飛べない鳥なんて・・・鳥じゃない、なんの価値もない。籠に入れた瞬間に高杉もいらなくなる』


「ならねェよ」



そう言って高杉は首に当てていた刀をしまうとまゆこの上に覆いかぶさってきた
そしてこれでもか、と言う力で少女を抱きしめた



「ほら、分かんだろ?」



グイっと腰をお腹の部分に押し当ててくる
そこに感じる異物
それにまゆこの頬が少し染まった



「お前の匂いを嗅ぐだけでこんなになっちまう、早く抱きてェって、早く入れてェって」




グイグイとソレを押し付けてくる高杉




「羽を捥がれて、足も切られた鳥はただ啼いてれば良いんだよ・・・俺の下でな!!!」



そう言ってガリっと首筋に噛みついた




『んんっ!!!!!』




先程の斬られた所に歯を当てて、更に傷口を開くようにしてくる高杉
その痛みに顔が歪む




「痛みも快楽も何もかも俺が与えてやる、オメ―はそれにただ感じてれば良いんだよ」



『っ!!!!』



血の付いた口をペロリと舐めると、そのまま他の場所も歯を突きたてて行く高杉
そのまま食いちぎられるのではないかと言うほどの痛みにまゆこはうめき声をあげながら涙を流した









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