大江戸愛情物語(完結)

□第十五訓
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まゆこがいなくなった夜
屯所では大騒ぎになっていた



「まゆこォォ!!!お父さんが悪かったぁァァァァァ!!!戻って来てェぇぇぇぇ!!!!」


「近藤さんいい加減泣きやめよ!!!
オイ、まゆこはいたか!!??」


「いえ、今四番隊が外に見に行ってますが、手掛かりなしと連絡が入ってます!!!」


「っくそ!!!何処行っちまったんだよ!!!」


「うわぁァァァァァァァァァん!!!!まゆこォォォォォ」




土方らが襲撃から帰ってくると女中たちが慌ただしく屯所内を走り回っていた
それに首を傾げ女中長の田中に訳を聞くと夕方前から姿が見えなくなったとの事
干してあった洗濯物が中途半端に入れられ、どう見ても置いていかれた事に対しての家出などではなさそうだった


少女の身の安全を考え、襲撃に連れて行かなかったのに!!!!



土方は吸っていた煙草のフィルター部分をギリっと噛みしめると自らも街へと少女を捜しに出て行った





何処だ!?何処に行ったんだ!!まゆこ!!!!!





息を切らせて街中を走る土方を夜空に浮かんだ月が嘲笑うかのように綺麗な三日月となってその姿を眺めていた































「まゆこ、これを着ろ」



事情に後、投げ渡された着物
何も身に付けていない体をゆっくり起こすとその着物を受け取った

体を起こす際に痛みが走り思わず顔を歪める
それを見た高杉が隣で煙管を咥えながら目を丸くした



「オメ―・・・初めてだったのか?」



その質問にアハハと乾いた笑いをするとまゆこは体に着物を羽織った


『初めてじゃないけど・・・久々すぎて、ちょっと痛かった・・』


「・・・そうか」



そう言って紫煙を吐きだす高杉
着物を着ていると着痩せするらしく、今何も身につけていない彼の体はがっしりとしていて男の体だった
その事に先程の事情を思い出し、思わず視線を叛ける
のそのそと着物の帯を軽く締めると再び高杉へと視線を戻した
黒髪が月明かりに照らされて少し紫がかった黒に光る
それに同じ黒髪の土方を思い出す




これは怒られるどころの話じゃないよねι
つーか、言えない・・・・




そう思っていると、視界が暗くなった
気が付けば、目の前に高杉の顔
そして近づいてきたと思ったら軽く触れるだけのキスが落された




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