大江戸愛情物語(完結)

□第十四訓
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「今日はまゆこに特別任務を与える!!!」

そう言ってきたのは勲ちゃん
その言葉に胸弾ませ、一体どんな任務かと次の言葉を待った


























「今日は一日女中をしてもらいます!!!!!」



・・・・・・マジ死ねゴリラ



『ええェェェェ!!!???なんで!?なんで女中!?』


「いや〜女中さんたちが半分風邪引いちゃって、どうにも手が回らないんだって」


『なら一日ハウスメイドとか頼みなよ、半分休んだんでしょ?私一人が入ったところでどうにもならないよ』


「そんな事言わずに・・・ね?勲からのお願い!!今日一日女中さんやって?」


『ぬ〜・・・・・』



顔の前で手を合わせ首を傾げる勲ちゃん
可愛くはない
けど、勲ちゃんのお願いを断ることも出来ないし・・・

そんな訳で私は仕方なく今日一日女中をする事になった





女中さんの仕事と言っても、この真選組の女中の仕事は結構バード
なんせ隊士の人数が多い
その隊士らの食事、洗濯、掃除
あ、でも掃除は隊士さんたちが一週間に一回自分たちで大体やるからそこまで手の込んだ掃除をしなくても平気
でも一番の仕事は洗濯だろう
汗みどろになった隊服の洗濯
もちろん隊士たちは外で斬り合いをしてくることもある、そうなれば隊服に血が付いてなかなか落ちないのだ


大型洗濯機をゴウンゴウンと回しながら、まだ隣に山の様にある洗濯物を睨みつけた




『・・・はぁ・・何で私が・・・』




洗濯物を干して畳んで、しかもそれを持ち主の所まで持っていく
それも面倒臭い
殆どが同じデザインの隊服
一応裏に名前が刺繍されて入るが、返すときに一々それを見て部屋に置いていかないといけない
女中の皆さんは毎日毎日よくこんな事出来るなァ〜


洗濯機の前に座りこみ、背中に振動を感じながら窓の晴れ渡った空を眺めた
白い雲がふわふわと優雅に浮かんでいる




『洗濯物が良く乾きそう・・・・』





そう出た言葉に思わず苦笑した




もし、5年前
真選組に助けてもらっていなければ、こうやってのんびり洗濯をして空を眺めることなんて無かっただろう
ずっとあの薄暗い牢に入れられ、夜になれば男に足を開いて、家畜にも劣る生活をしなければいけなかっただろう
空を見ることすら許されず・・・





『・・・・幸せ・・・だなァ・・・』






その小さく呟いた声は洗濯機の音にかき消された






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