大江戸愛情物語(完結)

□第十三訓
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卵地獄

その名の通り卵の地獄だ
毎食毎食、生の卵がホカホカご飯の上にかけられる、そしてそこに醤油のみがさされるのだ
日本人ならば誰もが食べたことがあり、その素朴な味に舌鼓を打つであろう
だが、美味しいものでも毎日食べれば飽きというものが出てきてしまう
しかも卵かけご飯単品のみ、ならば更なる飽きが出ても可笑しくはない




「まゆこ〜!!俺を助けてくれェェェェェ!!!!!」




その卵地獄から逃れるべく、ある男から電話がかかってきた
それにまゆこはため息を吐くと、夕飯買ってくよ、といって携帯電話を切った




神楽ちゃんにも困ったもんだ・・・
彼女がご飯当番になると毎度毎度こうやって呼び出しがかかる
そんなに卵賭けご飯が嫌ならば銀ちゃんが自分でご飯を作ればよいのに、それは嫌らしい。
なら我慢して食べなよ!!!!!
と、思いつつ夕方から出かけられるように溜まった書類を片付け始めた































夕方、高かった日も傾き始めた頃、まゆこは大江戸スーパーへと向かった
外は12月に入ったので大分寒くなってきていた
隊服に合った黒いコートに白いマフラー
そのマフラーに鼻まで突っ込むとブルッと身震いをして足を早めた



こんなに寒いんだから今日はお鍋とかがいいよね。それに神楽ちゃんとか食べ盛りもいるし・・・お肉沢山あって、味の濃い目のもの・・・・すき焼きかなァ〜???



普段の生活だとお菓子以外に使うことのなかったお金でパンパンに膨れ上がった財布を握り締めながらまゆこは白い息を吐く

まゆこが真撰組で働き始めて一ヶ月、先日初任給が出た
自分で働いて得たお金にまゆこは少し感動をした
そのお金は使わずに机の引き出しに入れてある
では、今財布に入っている大量の紙幣の出先は?というと、少女のお小遣いなのだ

働くまで少女はお小遣い制だった
だが、上下制限のないお小遣い
親馬鹿な4人からの高額なお小遣い+少女可愛さに真撰組の隊士らもお小遣いを上げていた
故に、まゆこはお小遣いだけでも初任給と変わらない額のお金を手にしていたのだ
でもそのお小遣いもお菓子を買う以外使われることはなく、きちんと貯金をしていた
まゆこの持っている高そうな着物なども自分で買った物は一着もない
全て少女可愛さからみんなが買ってくれていたのだ


そんなお金を財布に沢山入れてまゆこは大江戸スーパーを目指した
神楽のために肉を10kg買うために






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