大江戸愛情物語(完結)
□第十二訓
1ページ/6ページ
「まゆこちゃんて好きな人いるの?」
イキナリそんな質問をしてきたのはお妙ちゃん
クリクリな目を輝かせてとっても楽しそう
確かに勲ちゃんが惚れるのも分かるなァ・・って思いながら私はレモンスカッシュのサクランボを口に含んだ
『好きな人・・・ねェ』
感心なさそうにそう言う私にお妙ちゃんは可愛い顔を少し歪めてきた
「あら、あんなに男ばかりの所に居るのに浮いた話の一つも無いじゃない」
『・・・そりゃ・・・お妙ちゃんだってその意味分かってんでしょ〜?』
「・・・まァ・・・ねェ」
苦笑いをするお妙ちゃん
そう、私に浮いた話の一つも無いのはアイツらのせい
私を育ててくれて大事にしてくれている親馬鹿な4人のせい
大事にしてくれるのは良いのだが・・過保護ぶり半端ない
前にお花屋の定員のお兄さんが格好いいって言っただけで、その日以降彼の姿を見る事はなかった。噂では退が隠密に入って何かしたとか・・・ιもちろん屯所内でも彼らは目を光らせている、前に私にラブレターをくれた隊士はボッコボコにされてトシくんに切腹を命じられてた。
まァ流石にそれは止めたけど・・・ι
こんなんで彼氏が出来る訳がない
だからそれをしってるお妙ちゃんは苦笑いをしてるのだ
「ある意味まゆこちゃんも大変ね」
『お妙ちゃんほどではないけどね・・・』
「ふふふ、そう思うならあのゴリラ檻に閉じ込めてくれないかしら?」
『それは無理〜お妙ちゃんには悪いけど私も勲ちゃんの幸せ願ってるし、お妙ちゃんが折れてくれれば万事OKじゃん』
「まゆこちゃん?死なすわよ???」
『Σ!!!???す、すんません!!!』
お妙ちゃんの笑顔は怖いです
なんだろう
凄い可愛く笑ってんのに・・・半端ない威圧感
恐ろしいです・・・ι
ズズズっとレモンスカッシュがグラスから空になってしまった頃、ポツポツポツと雨が降り出していた
店の外を急ぎ足でかける人々
それを眺めながらグラスに残った氷をストローでコンコンと突いた
「あらやだ、今日は晴れるって言ってたのに・・・」
『ね、でも通り雨っぽいし・・・すぐ止むんじゃないかな??』
そんな言葉とは裏腹に雨脚はドンドンドンドン強くなる
ボーっと曇天を眺めながら私はお妙ちゃんに話しかけた
『やっぱゴリラは無理かな?』
「無理よ?何回言わすんじゃワレ」
『・・・ですよね〜?』
「ねェそんな事より、まゆこちゃんは本当に好きな人いないの??」
『またその話〜??だから親馬鹿のせいで・・・』
「その親馬鹿の4人で好きな人いないの?ほら、土方さんとか沖田さんなんかイケメンじゃない?なんならゴリラとか!!!」
『ゴリラは私も嫌だもん』
「それを私に押し付けんなや・・・あと・・ほら、あの、顔思い出せないけど存在感ない人!」
『退ねι・・・・そうだな・・格好良いっちゃ格好良いよねあの人たち』
「ね?あの4人だと誰が一番好き??」
『・・・・誰が・・か』
まず初めに勲ちゃんは無い
好きだけどそう言う好きじゃない
そーちゃんは確かに格好良いけどあの性格がダメ、たまに優しいけど基本やっぱドSだし、スキとか言ったら喜んで首輪で繋がれそう・・・
トシくんは好き、あの大人の雰囲気とか格好良いと思うし落ち着く、安心する
けど、あの煙草の量とマヨラーは頂けない。好きって言ったら、ならマヨも好きになれって犬の餌食わされそう。死ぬってマジで
退は・・・・可も無く不可も無く。
一緒にいても嫌じゃないし、むしろ心地良い、なんだかんだで何時も一緒にいるのは退な気がするし、それに好きって言ったら喜んで笑ってくれそうだし
そんな事を考えてグラスに残った氷を口に放り込みガシガシと噛んだ
・