Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第8話
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その日も、麻裕子ちゃん宛てに来た手紙を俺は彼女に届けた
俺がソレを渡すと彼女はニッコリ笑ってソレを受け取ってくれる





あ。今は毒舌麻裕子ちゃんじゃないんだ




そんな事を俺は思いながらその笑顔を見る


俺も彼女と同じように笑うとその笑顔が崩れた





『退、甘いもの食べたい。ケーキ買って来い』





あぁ、理不尽
タダでさえあの恐ろしい副長や沖田隊長に神経すり減らしてるのに
ここでもパシリ?
お前ら俺の扱い酷くね?
俺だって仕事してクタクタなんだよ?
手紙配ってるだけが仕事じゃねーんだぞ?




そんな事を思いながらもそれを口に出来ない自分が恨めしい



俺は1つ溜息を吐くと財布を片手に玄関へと向かった





『ちょい待ち!退!!』





その背中を呼びとめられ、まだなんかパシらせるのかよ!?
と振り向けば、ヒラリと目の前で揺れる福沢諭吉





『ゴリラとかマヨラーにも餌あげるからこれで買えるだけ買ってきて?』





俺は素直にその諭吉を受け取るとポケットにしまった




やっぱ麻裕子ちゃんは麻裕子ちゃんだな
彼女のそんな優しい気遣いってい―よな





俺は歩いていくつもりだったパシリを車に変えた
少しでも早く彼女の笑顔が見たいから










なんて思ってる俺ヤバい?
何これ!?
恋する乙女みたいな書きだし!
少女マンガかよ!?





あー・・・ヤバいな
だって麻裕子ちゃん可愛いんだもん
・・・・毒舌じゃなきゃ
別に隊士同士の恋愛は禁止じゃないけどさ?
きっと副長は俺の恋心なんて許さないんだろうな〜?士気が下がるとかいって・・


って


別に恋じゃないからァァァァ!!!
ちょっと可愛いって思ってるだけだし!!
何言っちゃってんの俺ぇぇぇぇぇ!!!!




動揺はハンドル捌きにも出る様で、その日山崎は車をガードレールに擦って返ってきた



















『近藤さァ〜ん?餌の時間だよ〜?』



麻裕子が大量のケーキと共に近藤の部屋に入った
するとそこには何やらアルバムを整理する近藤に姿が




「何?餌の時間って?おやつ?おやつの事だよね?なんでそんな動物園的ないい方?」



『だってここ動物園でしょ?』



「何見てそう言ったの?ねぇ何見て?」



『私の目の前にいるゴリラだ、鏡見て来い』



「人間だからね?ゴリラに似てるかもだけど正真正銘の人間だからね?」



『はいはい。ホラケーキだよ?フォーク使える?』



「使えるよね?なんで知能低いゴリラ扱い?」



『まぁまぁ、ところでアルバム整理ですか?』



「スル―?俺のゴリラスル―?」




そう言うと麻裕子は近藤が整理していたアルバムを覗きこんだ
するとそこには何枚も何枚も同じ女性が映った写真が大量にスクラップしてある









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