Sword of time-space・時空の刀(完結)
□第5話
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夜
局長室には近藤、土方、沖田、山崎の面々が麻裕子の来るのを待っていた
土方がカチっとマヨネーズ型のライターで煙草に火を付けた時
部屋の前から声が掛かった
『城戸です、入ります』
その声と同時に開かれる襖
そしてその現れた彼女の姿に山崎以外の3人は眉を寄せた
そう、彼女は隊服ではなく
現代の高校の制服を着ていたのだ
赤いリボンを胸にあしらい
ブレザーの制服に丈の短いスカート
紺のスクールソックスを履いていた
こちらの世界にはない格好に3人は眉を寄せたのだ
「・・・・・なんだその格好・・・」
土方が口を開く
麻裕子は一番手前に席に正座をすると
『私のいた世界の制服です』
と答えた
その返答に3人の眉間に皺が更に深くなる
「・・・・麻裕子のいた世界?」
首を傾げる沖田に麻裕子は一から話を始めた
『私はこの世界の人間じゃありません』
ハッキリとそう告げた言葉に土方らは目を見開く
『2か月前、こちらの世界に来ました。今まで居た所は平成と言われる時代で国は変わらず日本、住んでいた地名は東京になります、私はそこで県立高校に通う学生を・・・』
「ちょ、ちょ、ちょっと待て!!!」
ペラペラと話しだす麻裕子に土方が止めに入った
「話がみえねぇ!!何だ!?じゃぁお前は江戸の人間じゃねぇのか!?」
『江戸じゃないってゆーか・・・だからこの世界の人間じゃないんだって、だから戸籍もないし』
「そんな話しあり得るか?!そんな事聞いたことも見たことも」
『だから目の前に居るじゃん、現に今』
「・・・・・いやいやいや!!信じられるか!?自分は異世界からきましたってか!?確証は!?」
『・・・証拠ね・・・』
麻裕子は懐から財布を出すと中から免許証を取り出した
『18の誕生日に取ったんだけど、住所と生年月日みて?』
そういって渡された免許証を3人はマジマジと見る
確かにこの世界でも使われている免許証だったが住所も生年月日も彼らの知らないものだった
「平成・・?東京都世田谷区??」
近藤が首を傾げながらその免許証を見る
『ちなみに私のいた世界じゃ、江戸時代は150年ほど前に終わってます』
その言葉に全員がバッと顔をあげた
「江戸が・・・終わってる?」
「じゃぁ麻裕子は未来から?」
『いえ、未来ではなく全くの異世界です。私の知っている江戸には天人もこんな高度な文明も無かったから』
「・・・・そういや・・お前此処を新撰組だとか言ってたな?」
『あはは・・・私のいた世界の江戸時代にも真選組があったんだけど、それは新撰組で、近藤勇とか土方歳三とか沖田総司とか山崎烝がいたんだよね』
「それで俺らをエセ偉人とか言ってたんですかィ?」
『だって・・・憧れてた新撰組だと思ったらまったく違うんだもん、めちゃくちゃショックじゃん!!』
麻裕子の言葉に3人はう〜んと唸りながら再び免許証に目を向けた
そして近藤がその免許証を手に取る
「偽造・・・・じゃないな」
そんな3人に山崎が口を出す
「俺も最初は信じられませんでしたが、どんなに調べても城戸麻裕子と言う人間がこの世界に存在していたと言う証拠は出てきませんでした」
「・・・お前は最初から知ってたのか?」
ギラリと光る土方の視線に山崎は「ひっ!」と小さく悲鳴を上げながら上下に顔を振った
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