Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第3話
1ページ/5ページ









カチャカチャと無機質な音が食堂に鳴り響く



「麻裕子ちゃん、江戸にはもう慣れてきた?」



隣にすわり一緒にご飯を食べていた山崎が麻裕子に尋ねる




『ん〜大分ね?あんまり私のいた世界と変わらないみたいだから助かってる』



麻裕子はそう言いながら味噌汁を啜った





山崎とは秘密を共有し合う仲だ

そもそも何故そうなったかと言うと話は2か月前にさかのぼる




麻裕子が松平に保護された時、松平が山崎に頼み麻裕子の事を調べさせたのだ
でも一行に彼女に関する情報が手に入らない事に山崎が麻裕子に問い詰めたことで、彼女が異世界から来た事を知った



一応、そんな話は誰も信じないだろう、と言う事で麻裕子は記憶喪失の振りをする羽目になったのだ







「世界が違ってもあまり変わらないんだね〜」



『でも天人なんて向こうにはいなかったからね!?マジあれはびっくりだったよ!!映画でも見てるみたいで!!この前なんか犬が立って歩いてたよ!!』



「あーそれは茶斗蘭星の天人だね」



『あんなのを守るのが私らの仕事って・・・私の知ってる新撰組とは大違い』




はぁと盛大な溜息を付く麻裕子に山崎は苦笑をすると少し厳しい口調で口を開いた





「あんまり変な発言はしないでよ?一応麻裕子ちゃんは記憶喪失ってことになってるんだから!」



『う・・・分かってます』



「ってゆーかさ。気になってたんだけど・・・」



『ん?』




「なんで真選組入ってからそんな毒舌キャラやってんの?俺の前の麻裕子ちゃんと随分キャラ違くない?」





その山崎の質問に麻裕子は箸を咥えながらじっと山崎の目を見つめた




「・・・・・なに?」




『私の性別は何でしょう?』



「え?女の子だよね?違うの?」



『女であってるよ!何その失礼な回答は?』



「え、だって・・分かり切った事聞くから」



『・・・・はぁ〜・・・退くんはわかってないねぇ〜・・・』



「何が?」



『女が真選組に隊士として入るんだよ?男ばっかりの所に女一人だよ!?舐められるのは目に見えてるよね!?』



「あぁ!!なるほど!!」



『なるほど!!じゃないよ。私は舐められないためにも性格キツ目の女を演じてるんです』



「う〜ん・・・別に大丈夫だと思うんだけどなァ〜」



『それは退くんが男だから分かんないんだよ?あのマヨ方を見てごらん?私が女だからって随分見下してくれちゃってさ!!』



「・・・・・あ・・・・麻裕子ちゃん・・・」




『あーゆー堅物まだ生きてたんだね〜私はとっくに絶滅したと思ってたよ、つかマヨをあんだけ摂取してんなら脳みそもマヨネーズみたいに柔らかくなれっつーの』




「・・・・あの、麻裕子ちゃん・・・後ろ・・・」





『この前なんか少し暑かったから上着脱いだらなんて言ったか分かる!?"お前は女の自覚を持て!上着を着ろ!"だってさ!たかが上着だよ!?それを何エロい事考えてんだか?きっと絶対あの年で童貞だね、間違いないね?ムッツリ野郎だよ』



「・・・・・・・ほォ〜?誰が童貞でムッツリだ?コラ」




『・・・・・あ。おはようございますエロ方さん』




「誰がエロ方だァァァァァ!!!黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがってェェェ!!!」




『好き勝手も何も全部実話じゃないですか、人の薄着を見てムラムラしたんでしょ?』




「誰がお前みたいなガサツ女にムラムラするか!!!」





気が付けば後ろに鬼の様な形相で立っていた土方
山崎は顔を引きつらせながら2人の喧嘩を横目にご飯を食べ進めた





『もォ〜シローが来てるなら教えてよ退!!』



「俺は何度も目線を送りました」



『その存在感のない顔で目線送られても気がつかないっつーの』



「マジその毒舌キャラ辞めてくんない?(涙)」



山崎と麻裕子がコソコソと話す中
土方が目の前にトレーを置いて座った
その事に麻裕子は眉を寄せて土方を睨む







次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ