Sword of time-space・時空の刀(完結)
□第2話
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麻裕子が松平と真選組を訪れた夜
急きょ歓迎会が執り行われた
隊士全員が大広間に呼ばれ近藤の挨拶で始まった
「えー。今日から零番隊が導入される、零番隊員はまた後日入隊になるが隊長の城戸君だけ本日から入隊が決まった!では、挨拶をしてもらう!入りたまえ!」
近藤のかけ声で麻裕子が広間にはいる
その姿に隊士全員から雄叫びが上がった
「「「「女ァァァァァァ!!??」」」」
近藤の隣にちょこんと座る麻裕子
「城戸麻裕子君だ。今まで警察庁特別班に籍を置いていた!今回訳あって真選組零番隊隊長に任命された!みんな仲良くするように!!じゃぁ麻裕子ちゃん?一言いいかな?」
近藤にそう言われ、麻裕子はコホンと咳払いをすると隊士たちに目を向けた
『えー・・只今ご紹介にあずかりました城戸麻裕子です、少しの間になると思いますが零番隊隊長として宜しくお願いします』
特に笑いもせず、淡々と自己紹介をする麻裕子に隊士たちから声が上がる
「警察庁からだって!?」
「ある意味完璧上司じゃねぇか!」
「つーか、女!?大丈夫なのかよ!?刀使えんのか?!」
「でも可愛いよな?」
「いくつなんだろ?」
「ってか、彼氏いんのかな?」
なんとも浮足立った声に麻裕子は思わず眉を寄せる
そしてホルスターに手を突っ込むと拳銃を取り出し天井に向かって発砲した
『今の質問に答えてあげますよ、私は警察庁から移動してきた、完璧アンタらの上司、刀はもちろん基本は拳銃を使う、容姿は並み、年は18歳、彼氏はいない。これで満足かコノヤロー』
捲し立てる様にそう言う彼女の銃口は完璧隊士たちを狙っている
その事にゴクリと隊士らはゴクリと喉を鳴らすと全員無言で何度も頷いた
「まぁまぁ麻裕子ちゃん拳銃しまって!じゃぁこれから宴会を始めようか!!おーい!山崎!酒を持ってこい!!」
その声で山崎らが大量の酒瓶を抱えて広間に入ってきた
麻裕子は部屋の隅に座ると黙ってその様子を眺める
『・・・・これが新撰組・・・』
ぼそりと吐いた言葉が隊士たちの声にかき消える
麻裕子は懐から煙草を取り出すとジュッと先端に火を付けた
「オイコラ、何未成年が煙草なんて吸ってんだよ?」
目の前に立つ黒い男に睨みを利かすと、ふーっと細く紫煙を吐きだした
『ったくうるさいな・・・テメーは母ちゃんか?!』
「アホか?一般論だろ!?煙草は20歳過ぎてからだ!!」
『うるせ―エセ土方』
「何が!?何がエセ!?」
『お前の存在がだよ!!』
そう言うと麻裕子は再び煙草に口を付け肺いっぱいに煙を吸い込んだ
すると目の前の男がしゃがみ込み目の前に何かを差し出した
『・・・・・なに?』
「灰皿だ。捨てろ」
『なんで?今吸ったばっかなんだけど?』
「まだ言うか!?未成年!!」
『あそこにもう一人未成年が酒飲んでるんですけど?』
麻裕子が指さす方を見れば沖田が一升瓶にそのまま口を付け一気飲みをしていた
ソレに溜息を吐くと麻裕子が咥えていた煙草をひょいと奪い取り灰皿に押し付けた
「兎に角煙草は辞めろ、お前は女なんだから」
そう言うと土方は灰皿片手に近藤たちの輪の中に消えて行った
それを麻裕子は睨みつける
『・・・・・マジウザい男・・・・』
吐き捨てる様にそう言うとふらりと立ち上がり広間をあとにした
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