・2 (完結)
□完結後の話A
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「名無しさん、用意はできたか?」
重厚な扉を押し開き、土方が中に入ってくる
『あ、大丈夫です、今行きます』
そう言って椅子から立ち上がったその姿に土方は思わず目を奪われた
真っ白い純白のドレス
キラキラ光る胸元のアクセサリー
長い髪は上に纏められ
その顔にはベールが掛かっている
「・・・・綺麗だ・・」
無意識に口から紡がれる言葉
それを聞いた名無しさんはボンと顔を赤く染め上げた
『あ、ありがとうございます。でも、少し恥ずかしいです』
はにかむ様に笑う彼女に土方はゆっくりと近づいていった
今日は2人の結婚式
本当は白無垢希望だったのだが着物はお腹の子に負担がかかる!との土方の一声で教会式のウエディングドレスとなったのだ
名無しさんを同じように真っ白いタキシードに身を包んだ土方が名無しさんの前に立つ
何時も黒服ばかりを着ているせいか、白いタキシード姿がとても新鮮で名無しさんは更に頬を染め上げた
土方はそっと彼女のベールを上げるとその場に片膝をついた
その行動に名無しさんは首をかしげる
すると土方はいつも以上に優しそうな幸せそうな顔を向けると名無しさんの左手を掴んだ
「俺、土方十四郎は妻、名無しさんに誓います。いかなる時も、いかなる場所でもお前を守り、お前を想う、ずっとずっと、しわくちゃの爺さん婆さんになって、その人生の幕が降りるまでお前を手放さねェ、愛し続けるよ。名無しさん」
優しく左の薬指に落ちるキス
思わず涙が出てくる
「お、オイ、式はまだなんだぞ?!今泣いたら化粧が崩れんだろが!?」
慌てて立ち上がると傍にあったハンカチで涙を拭いてやる
すると今度は名無しさんがしゃがみ込み、片膝をついて土方の左手を掴んだ
『私、土方名無しさんは夫、十四郎さんに誓います。どんな時でもどんな姿になってもこの命尽きるまで貴方の傍を離れない、貴方の愛を一身に受け止め、貴方を死ぬまで愛し続けます。』
そして土方同様に左手の薬指にキスを送った
本当の式ではない
2人だけの誓いの儀式
お互い幸せそうに笑うと触れるだけのキスを交わした
『私幸せです・・・土方さん』
「あぁ・・俺も、幸せだ、名無しさん」
「あ〜これじゃ入るに入れませんね、名無しさんちゃん呼びに来たんですけど・・」
「まぁまぁザキ、もう少し2人きりにしてあげよう」
「って、いいながら何ガン見してんでィ近藤さん」
「い、いや・・・羨ましいなぁ〜って思って」
「局長には当分こんな日は来そうにありませんもんね」
「ザキ!そんな事はありません!今日の挙式の2次会で絶対お妙さんをものにするんだもん!」
「ちょっ!近藤さん静かにして下せェ、覗きがバレやすぜ?」
扉の向こうからこんな会話がされていたと言うのはまた別の話。
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