・2 (完結)

□第四十九章
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シュコー・・・

ピッ

シュコー・・・

ピッ

シュコー・・・

ピッ




真っ白い部屋に規則正しい機械音が鳴り響く





カプセルに入れられた名無しさん
その瞳は固く閉じられ
体には無数のコードが巻きついていた



「AOS156注入開始」



カプセルの中に機械の触手が伸び名無しさんの体に薬を注入していく





「心拍数、脈共に異常なし」





画面に表示される数字を楽しそうに眺める紅茶色の瞳
くつくつと喉を鳴らしながらカプセルの中で眠る名無しさんに目を向け直した






「鳴呼・・・やはり美しいですね?ドール」





うっとりとその名無しさんの姿を眺める

そして全身スキャンが終わった時,紅茶色の瞳が見開かれた






「・・・・・・これは・・・・」






思わず握っていた注射器がバリンとその手の中で割れた






「・・・マーキングだけだと思ってましたが・・・」





注射器の破片が手に刺さり、血が滴る
その手をぺろりと舐めるとすでに傷はふさがっていた

血のついた口角を吊り上げるとミシフェルは怪しく笑った







「・・・・あの男、殺さずにいてあげたというのに・・・」





くつくつ笑うと男は名無しさんから離れ隣の部屋へ入っていった







「私が自ら手を下しましょうか?それとも愛する人の手にかかるほうが良いですかね?」







こつこつと靴音が広い部屋に響く







「まァ・・・・どの道死んで貰いますけどね。私のドールの種を植えた償いはして貰わないと・・・・」





ガバッとクローゼットを開くと、今まで来ていた血だらけの西洋の黒い服を脱ぎ、新しいものに着替えた
先ほど体に受けた傷はすでに跡形もなく消えていた



そして一番奥のクローゼットに行くと中から真っ白の西洋のドレスを取り出した
ふんだんにレースをあしらったその美しいドレスを抱えると再び、名無しさんの寝かせられている部屋へ戻る






「貴女のために作らせた特注ですよ?きっと素晴らしく似合うことでしょう」




まだカプセルで眠る名無しさんにそう語りかけると、そのカプセルのOPENボタンを押した

そしてその男の手がゆっくりと名無しさんに伸びる






「お着替えの時間ですよ?ドール?」










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