・2 (完結)
□第四十八章
1ページ/7ページ
静かな局長室に野田の声が通る
辺りは一面血まみれ
そんな異様な光景だが近藤、土方、山崎、沖田は黙って話を聞いていた
「・・・・なるほど・・じゃぁお前は名無しさんと本当の兄弟って事か・・」
「はい」
「傭兵兵器の事も分かった、君も辛い思いをしてきたんだな」
近藤が優しい目で野田を見る
それに野田はフルフルと首を横にふった
「俺は・・・名無しさんに比べれば全然・・・」
その手は膝の上でグッと握られた
「じゃァあとは名無しさんの体の事を聞かせなせィ?あの男の言ってた事は本当ですかィ?」
沖田の鋭い視線が光る
野田はギリっと唇を噛むと静かに頷いた
それに全員が顔を歪ませ口を閉ざした
「・・・・・嘘だろ・・・・・・?」
土方がユラリと立ち上がる
「・・・・・・嘘なんだろ?」
フラフラと野田の前に歩み寄る
「嘘だって言えよォォ!!!野田ァァァァァ!!!!」
ガシっと野田の胸倉を掴み上げる
野田は抵抗する訳でもなくされるがままだ
「トシ!落ち付け!!野田にあたってどうする!?」
「副長落ち着いて!!」
「落ち着いてられるか!!!!なんでだよ!?なんでアイツが死ななきゃなんねぇんだよ?!アイツは今まで散々辛い目にあって・・・・チクショウ!!!なんで!なんで!!!」
ガグガグと野田の胸倉を掴みながら土方は狂ったように叫んだ
それを野田は悲しそうな瞳で見つめる
「アイツ・・・言ってました。死ぬ事が怖いんじゃない、皆と離れるのが怖いって・・・土方さん・・・貴方の傍に居られない事が、もう一度愛した人を失わせる事になるのが一番辛いって・・・」
ポタリと一筋
土方の目から涙がこぼれた
なんでだよ?
なんでテメーの事心配しねーんだよ?
なんで俺のことばっかり・・・
胸倉を掴んだまま愕然とする土方を沖田が支える
そしてその場に崩れ込んだ
「土方さん・・・名無しさんはアンタの事本当に愛してたんですねィ」
その場にいた全員が沈痛な面持ちで土方を見る
すると野田が意を決したように口を開いた
「まだ、名無しさんが此処で生きて行く方法はあります!」
・