・2 (完結)

□第四十七章
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8月の終わり
まだまだ残暑が続く暑い中
名無しさんは写真の整理をしていた

広げるのは慰安旅行に行った時の写真だ



部屋中に一枚一枚並べ眺めているとふ、と目の止まった一枚の写真


それを見るなり名無しさんは顔を赤らめた






土方とのキス写真だ





『うわァ〜・・・恥ずかしいィι』



ペタンとそれを裏返すと他の写真に目を向ける

何枚も何枚もある写真の中からある一枚を選び取った

それは近藤、山崎、沖田、土方の5人と映っている写真だ



それを愛おしそうに眺めると警察手帳を取り出してその中に入れた

そして先程のキス写真も裏にしたまま一緒に入れておいた





私の宝物ですね・・・




左の内ポケットに警察手帳をしまった時、部屋の外から声が掛かった





「名無しさん、俺だけど入って良いか?」




声の主は野田だった
名無しさんは「はい」と返事をすると写真をかき集め1つに纏めた



『お兄ちゃん、どうしたんですか?』



「あぁ、なんかお前に客みたいだぞ?俺は局長室にお前を呼んで来るように言われてな」



『私に??』




自分に客?

その事に名無しさんは首を傾げた


もし万屋メンバーならわざわざ局長室なんかに呼ばない
ならば誰?

そもそもラボから出てきた名無しさんに客なんて来る筈がないのだが?



不思議に思いながらも名無しさんは野田のあとを追った




『誰だろ?団子屋のおじさんですかね?ツケ払えってきましたかね?』



「どんだけツケてるんだ?普通来ないだろ?」



『ん〜・・・じゃァこの前総悟が大破させた洋服やの亭主さんですかね?』



「それだと呼ばれるのは沖田隊長だろ?」



『んん〜・・・・他誰も思い当たりませんね〜ι』



「まぁ会えば分かるだろ?」




『そうですね!』






ぺたぺたと歩いていくと局長室が見えた
その前に立つと野田が先に襖に手をかけた




「局長、名無しさんを連れてきました」



「おう、入れ」



そう言われて襖を開けると、近藤、土方、沖田、山崎の面々が少し重い空気の中座っていた







そして一番手前で名無しさんに背を向ける形で座る男










その後ろ姿に名無しさんの体は硬直する










そしてゆっくりと、その男が振りかえった





紅茶色の瞳と目が合う













刹那












名無しさんと野田が瞬時に抜刀をし、その男に斬りかかった




いきなりの事に驚く4人
思わず自分たちも刀に手をかけ戦闘態勢を取る




野田の刀がその男の左肩から右腹にかけて振り降ろされる
その返り血を浴びながら
名無しさんがその心臓目掛けて刀を突き刺した


ドン、と男は仰向けに倒れ込み刀で畳に突きつけられる










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