Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第32話
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彼が縁側に座っているため
抱き合うと何時もと逆で、土方が麻裕子の胸に顔を埋める形になった



「・・・柔らけぇ・・・」




胸に顔を埋め
腰に腕を巻き付けて
甘えるように擦り寄る彼


麻裕子はキュッとその頭を抱きしめた

するとくぐもった声で土方がしゃべりだす





「お前の好きが欲しい、お前が俺を想ってくれてるのは分かってるけど・・・お前の言葉が欲しい。お前の心をお前の言葉で聞きてぇ・・」




グリグリと頭を擦り寄せながらそう言う土方

その仕草に麻裕子の表情が緩む




そして少しだけ頭を下げると土方にしか聞こえない様な小さな小さな声で囁いた












『好きなんて言ってあげない

















愛してるよシロー』





ピクリと動く黒髪
強くなる腕の力
そして胸元から



「俺も愛してる」



と優しい声が漏れた










私の彼は困った人

すぐ嫉妬はするし
独占欲も強い
不貞腐れては、周りに当り散らす

まるで子供だ


彼を鬼の副長と呼ぶ人たちがいる
頭がキレて真選組の頭脳だと


本当かな?


なら今私の胸に抱かれている男は一体誰なんだろ?

鬼でも無ければ副長という肩書さえ忘れている様なこの男

頭がキレる?
子供の様に狡賢いの間違いでは?


けど

私にだけこんな姿を見せるのは悪くない
むしろ嬉しい

私の腕の中だけ

一人の男に戻ってね?
土方十四郎?








→おまけ
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