Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第32話
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ジャリっと小石を踏みながら裏庭に行くと縁側に腰を降ろして煙草を吸っている黒髪の男がいた


不機嫌丸出しで、ガタガタと貧乏揺すりをしている





麻裕子はそのまま土方の方まで歩く
それに気がついたのか顔を上げはしなかったがピタリと貧乏揺すりが止まった


その事に苦笑を洩らしながら土方の目の前まで行く
未だに顔を上げない彼になるべく優しく声をかけた



『土方十四郎くん?』




ピクリと黒髪が揺れたが動かない


もう一度呼ぶ



『土方十四郎くん?』



それでも動かない



『私の事が大好きな土方十四郎くん?』




そこまでいってやっと顔を上げた
その顔は不貞腐れるように少しムッとしている

本当に子供かよ

そんな事を思いながらクスリと笑うと両手で彼の頬を挟んで自分の方を向かせた




『やって良い事と悪い事があるでしょ?お分かりかな?シローくん?』




悪い事をした子供を叱るお母さんのような口調に更に土方はムッとした表情を強くした


その顔かわいいなァ、なんて思いながら麻裕子は言葉を続ける




『なんでそんなに機嫌が悪かったのかな?正直に言ってごらん?』



「・・・・別に機嫌悪くなんかねェよ」



顔を背けようとしたが、麻裕子の手がそうはさせてくれない



『じゃァなんで庭にボロボロの隊士たちの山があったのかな?木に吊るされてる人もいたね?』


「・・・・・・そ、それは・・」




もごもごと口ごもる土方に麻裕子は軽くキスを送った


思わず目を見開く土方


今までキスは何回かしてきたが麻裕子からキスをされたのは初めてのことだった
思わず土方の顔が赤く染まる





『なんで機嫌が悪かったのかな?』



再度言われた言葉に土方は顔を赤くしたままボソボソと口を開いた




「・・俺に・・好きって言わねェのに・・万事屋の野郎と・・仲良さげにしてて・・ムカついた」



『・・・・お子ちゃま』



「ばっ!何だよ?!しょーがねェだろ?!お前が・・・」



"お前が好きって言わねェから"


と言いかけた言葉は2回目の麻裕子からのキスで遮られた
今度は少し長くお互いの唇が重なる




『一回しか言わないからね・・・私は・・』




ごくりと土方の喉が鳴る




『シローが・・す・・す・・・』





ヤバい!
やっぱ恥ずかしい!
この前シローに言うと決断はしたものの
やっぱ恥ずかしい!!



『・・す・・す・・・』


「・・・・・す?」


ニヤリと挑発するように笑う土方
その瞬間、カッと顔が真っ赤になるのが分かった








『シローが好き!!・・・なマヨネーズはコレステロールが高くそれが原因で、血管が狭まり、血液が流れにくく、詰まりやすくなってきます。
その結果、動脈硬化、から、狭心症、脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こしてしまいます。発症した後は、重い後遺症が残ったり、死にいたる場合もあります。高血圧を同様、脂質異常症(高脂血症)もほとんど自覚症状がないので注意が必要です』




「・・・・・・・・・・」


『・・・・・・・・・・』


「・・・喧嘩売ってんのかコラ」


『めっそうもございません・・・・ι』






シンと静まりかえる裏庭
土方の視線が痛いほど麻裕子を貫く



土方ははぁと小さく溜息を吐くと麻裕子の細い手首を掴んだ
そして自分の方へグイっと引き寄せる







 
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