Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第31話
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「謝んな、もぅいいから、今お前が俺の傍に居る・・・それでいいんだ」



キツく麻裕子を抱きしめる


その薄い肩
細い腕
白い項
ほのかに香る甘い香り


その全てが俺を魅了する

先程昔の事を思い出していたせいだろうか、今この腕の中に麻裕子がしっかりと存在している事に目頭がじんわりと熱くなった

それを隠す様に俺は麻裕子の肩に顔を埋める




『手を伸ばすか、手を伸ばさないかしかあの時の私には存在しなかった、何も約束された世界じゃないから・・・後悔もしないと思ってた・・・けどね?』


そう言うと麻裕子は背中に回した手でキュッと俺の隊服を掴む



『私が望んでした事なのに、とっても怖かった・・・シローから離れてどうやって生きて行けばいいかも分からなくて、呼吸の仕方さえ忘れたみたいに・・・・』



「あぁ・・俺も怖かった、お前がいきなりいなくなって・・・不安で怖くて、自分が今までどうやって生きてきたかなんか分からなくなった」




自分でも分かる
声が震える
涙を零さないようにキツく噛みしめたく唇がジンジン痛え




『でも、私は戻ってきた・・・そしてまた彼に恋する事が出来た・・・』



「俺もまたお前に惚れた」



『良いかな?良いのかな?』



「・・・何がだ?」


『私シローに好きって言って良いのかな?』



「は?良いに決まってんだろ?」



『・・・・ミツバ・・・怒んないかな?』





いきなり出てきた名前に土方がスットンキョンな声をあげる





「はぁ?!何でミツバ?!」



『・・・・ミツバに悪い気がして・・・』




そう言う麻裕子に俺は盛大な溜息をお見舞いしてやる
本当にこいつは何時もミツバミツバだな・・・




「・・・お前はミツバが好きだったよな?」



『・・・大好き』



「アイツだってお前が大好きだったと思うぜ?」



『・・・・うん』



「ミツバの幸せを願ってたんだろ?」



『・・・うん』



「なら、きっとアイツもお前の幸せを願ってる」





ピクリと麻裕子の肩が揺れる



我儘で
口がわるくて
毒舌で
不器用で
性格だって捻くれてる
でも人一倍責任感も強くて
相手の気持ちをくんでやれて
全力で相手の幸せを願ってやれるコイツ

そんなお前だから俺らはお前が大好きなんだ



「お前がアイツの幸せを祈るようにアイツもお前の幸せを祈ってる、お前がいなくなった時・・・アイツ泣いてたぞ?ごめんなさいって言って」



『・・・・・ミツバァ〜・・・』



「アイツの為にも・・・言ってくれよ?俺を好きだって・・・・」





俺は麻裕子の両頬を掴んでコツンとおでこ同士をくっつけた
麻裕子の額に貼ってある冷えピタのお陰で俺の赤い顔の熱が少し吸収されていく




麻裕子は熱で赤い顔を更に紅く染め上げ
俺の大好きな笑顔を向けた





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