Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第31話
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『・・・・んン・・・』



眠っていた麻裕子が少し息苦しそうに唸り、俺はハッと意識を戻した



あぁ・・・なんか懐かしい事思い出してたな・・・




先程まで思い出していた昔の出来事にふっと笑みを浮かべると、俺は麻裕子の首辺りに手の甲を当てた




まだ熱いな・・・一回起して薬でも飲ませるか?




「麻裕子、麻裕子一旦起きれるか?薬飲め?」



俺の声に少し反応を見せる麻裕子
そして熱で潤んだ瞳が焦点の合わないまま俺を見た




「熱高けーから薬だけでも飲んどけ?起きれるか?」




コクンと頷くとグッと体に力を入れて起きようとした
それを助けるように俺は背中に手をまわして起してやる
どうやらさっきより熱が上がってるみてーだ
体が尋常じゃねェほど熱い

俺は薬の前にポカリスエットを取り出すと封をあけて麻裕子に差し出した

ノロノロとした動きでペットボトルを受け取る麻裕子

そして口を付けるとその小さい口でグビグビと飲む

熱のせいでぼーっとしているせいだろうか?口の端からポタポタとポカリが垂れた




「オイ、零してるぞ?」



そう言ってタオルで垂れたポカリを拭いてやると虚ろな目で俺をじぃーっとみてきた



・・・・・なんだ?




『どなたか存じませんがお手数おかけしましてどうもすいまどん』





ペコリと頭を下げる麻裕子
俺フリーズ




えええええぇぇぇぇぇえ!!??
なに「すいまどん」ってェぇぇ!?
つーかどなたか存じませんってどういう事だァァァァァァァァ!!!
また記憶喪失ぅぅぅぅぅぅ!!??







「おおおおい!?俺だぞ?!土方十四郎!シロー!!!」





麻裕子の肩をガシッと掴み慌ててそう言うと、麻裕子は少し俺の顔を見て考えるようにしてニコッと笑った







『シローはもっとカッコイイです』



「・・・・・・・・・・・」





何これ?
俺どう対処したらいいの?
嬉しい筈なのに涙出そう





『シローに似てますけど、シローはそんなぐにゃぐにゃした顔じゃないですよ』




殴って良い?
殴って良いよね?
ぐにゃぐにゃした顔ってなんだァァァァ!!
俺は俺だぞ?!
つーか、熱のせいで頭湧いたか?!

あ。つーかコイツ熱あるから意識朦朧としてんのか?





俺は麻裕子の顔を再度覗きこむ
やはりそうだ
目の焦点が合ってない
そりゃ俺がぐにゃぐにゃに見えるよな・・
それにしても"シローはもっとかっこいいです"って・・・
あ、ヤベ、顔が緩む



俺は赤く緩む顔を見られねぇ様にプイっと逸らした



そんな俺を知ってか知らずか麻裕子は俺じゃねェ俺に話しかける




『今ね?シローの夢見てたの』



ふふふっと幸せそうに笑いながらそう言うコイツに更に俺の顔はだらしなくなる

さっきまで好きって言われてねェでウダウダ考えてたのなんかどっかに飛んで行っちまうコラいだ


俺はコイツの口からもっと自分の事を聞きたくて言葉をかける




「どんな夢見てたんだ?」



その問いに朦朧とした目を向けて頬を染めてきた



あぁ食いてぇ・・・




『昔の夢・・・シローの髪がまだ長かった頃の・・・』




そう言うと麻裕子は俺の髪にサラッと指を絡めた
愛おしそうにその髪を梳く




「麻裕子?俺って分かってるのか?」



『シロー、ごめんね?記憶消しちゃってごめんね?アソコからいなくなってごめんね?・・・・同じ世界の人間じゃなくてごめんね?』




悲しそうに切なそうに小さく謝る麻裕子
その肩が少し震えている
俺は肩を引き寄せるとまだ熱のせいで熱い体を腕の中に閉じ込めた






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