Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第29話
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「でもあの麻裕子ちゃんが大人しく一人で残りますかね?」



「そうですねィ」





総悟に続いてサボり魔が彼女だが、仕事への責任感は人一倍
だてに警察庁で働いてはいない


そんな彼女をどうやって一人留守番をさせるかが問題だ




「まァ・・・そこは俺が考えとく、それより今日の夕方には敵さんのアジトに乗り込むからしっかり用意しとけ。山崎、麻裕子にバレねェように他の隊士にもこの旨ちゃんと伝えておけ」





そういうと土方は新しい煙草に火を付けた






麻裕子を一人居残り組にねィ・・・・



正直、沖田もそれには賛成だった
ただ心配なのはそれを知った時の麻裕子



絶対怒りまくるんだろうねィ・・・




そんな彼女を想像して、先に謝る材料として団子でも買って置くかな?など考え、沖田は今日の見廻り最中に団子屋へ寄るはめになるのだった


















『シロー?いる〜?零番隊の報告書なんだけど』



副長室の前で声をかけると中から「入れ」という声が聞こえた
襖に手をかけ中に入ると、何時もの光景
机にかじりつき書類に追われる広い背中

若干それが見えずらいのは
きっと部屋に立ちこめた煙草の煙のせいだろう




『・・・シロー、ちょっと煙草吸いすぎじゃない?霧か?この部屋は山奥にでもおるのか?』




そう言いながら麻裕子はガラッと窓を開けて空気の入れ替えをしてやる
窓から入る新鮮な空気を部屋いっぱいに取りこんで、ようやく彼の背中がクリアに見えた




「あ?しょーがねーだろ、コレ今日中に終わらせなきゃなんねェんだよ」



ポンポンと叩く書類の山
30cmはあるだろうか?
なんだってそんなに一日で仕事が溜まるのか不思議に思った麻裕子だったが
ふと、あの栗色の髪の毛のドSの顔を思い出し妙に納得をした





『総悟にも困ったもんだね〜、つーわけで零番隊の報告書、サインと判子頂戴』




ぺラッと自分の書類を差し出す
それを土方は隅々まで確認するとサラサラと自分の名前を記入し、ポンと判子を押した




「勘定方には俺から出しておくからいいぞ」


『え?いいの?悪いね、じゃァお願い!』




そう言って出て行こうとした麻裕子の腕を土方のゴツゴツした手が思い切り引いた

その強さに何の身構えもしていなかった麻裕子はろくな抵抗も出来ず、すっぽりと土方の胡坐の中に収まった





『・・・・ビックリすんだろ・・・何?』



「別に何も?」



『なら離してくれないかな?今仕事中』



「何時もサボってる癖によく言うな」




くくくっと笑うと土方は麻裕子の首に顔を埋めた


サラリと触れる髪や
熱くかかる吐息におもわずゾクリという感覚が体を襲う

思わず声が出そうになってきつく唇を噛みしめた


それを知ってか知らずか土方はその首筋に唇を当ててツーっと鎖骨まで滑らせた



『・・っ・・・』



ピクリと反応する体

土方は最後にチュッと肌に吸いつくと1つだけ赤い華を咲かせて唇を離した





「お前は俺が絶対に守る」





耳元で囁かれる言葉





"私もあなたを守る"




そう言いたくて振りかえると、それは音になる前に土方に飲み込まれていった






甘いキス
でも煙草の味の苦いキス





"お前は俺が絶対守る"の意味が分かるのは今日の夜










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