Sword of time-space・時空の刀(完結)
□第29話
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カチャカチャと金属音が部屋に響く
時たまパシャリと言う水音も聞こえている
麻裕子は小さなドライバー片手に器用に拳銃を分解していくとバラバラになったパーツをアルコールに浸し、丁寧に拭きあげて行った
天海党に動きがあった
ならば今日中には真選組は動くだろう
そう判断した麻裕子は拳銃の整備をしていたのだ
バラバラになったパーツを組み立てて行く
慣れたもんだわ
最初は上手く出来なかったのに・・
今じゃ簡単に組み立てられる
それがこの世界に長くいる証拠
麻裕子はふっと笑うと組み立てあがった拳銃をホルスターにしまった
*
土方の目の前にはボッコボコにされた山崎
その手には血まみれの資料が握られていた
「んで?報告書は?」
「・・・・これです」
「なんで血まみれなんだよ?読めねェだろが」
「なんで血まみれなんでしょうね?資料も俺も・・・」
「テメーが麻裕子に手出すからだろ」
「(面倒臭い、マジこの人面倒臭い!!)」
土方は眉間に皺を寄せながら渡された資料に目を通して行く
その横ではやる気のなさそうな沖田がアイマスクを付けて畳の上に寝転んでいた
「んで?星さんは何人ぐらいなんでさァ」
「大体100はいるのではないかと思われます、実際正確な人数は分からないんですか」
「100ねェ〜・・・そりゃ真選組総動員ってかんじですかねェ?」
その言葉に土方が紫煙を吐きながらう〜んと唸った
何を考えているかなんてすぐ分かる
沖田はチロリとアイマスクをあげると
「連れていかねェ気ですかィ?」
と言葉を投げた
ガシガシガシと頭を掻きながら土方は煙草を灰皿へ押し付ける
「あまり目立つ動きはしねェ方が良いからな・・・万が一天導衆の耳にでも入ったら面倒だし・・・」
そう
連れて行かないと言うのは麻裕子の事
以前に一件で中原と約束をしたのだ
彼女をあまり目立たせないと
正直、上にあげる報告書を偽造すればいいのだが、正直それだけでは不安な面もある
それに、彼自身、麻裕子を危ない目に会わせたくないと言う思いもある
土方は悩んだ末
麻裕子を置いていく。と言う結論を出した
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