Sword of time-space・時空の刀(完結)
□第2話
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『何あの態度、めっちゃムカつくんですけど?何様だアイツは』
「一応副長様ですよ」
クスクスと笑いながら山崎が麻裕子にタオルを渡した
それを受け取ると額にじんわり掻いていた汗を拭う
『はぁ・・・あんなのが上司なんて最悪』
ぼそりと呟くと汗を拭いたタオルをバサッと山崎の顔面に被せた
「その言葉麻裕子ちゃんにも当てはまると思うけど?」
『なんか言ったか?地味男』
「・・・・・なんでも」
『あ、そうだ。あとでさ、空き缶を数個部屋に持ってきてくれる?』
「空き缶?分かったけど・・・」
『ここには射撃場なんてないでしょ?練習しないと腕が鈍っちゃう』
そう言うと麻裕子は近藤らにヒラヒラと手を振って道場を後にした
そして自室に戻り隊服に着替える
上着の下に身に付けたショルダーホルスターに愛用の拳銃を差しこみ予備の銃弾も装備し、上着を羽織った
・・・・・今日久々に剣術をやったな・・・
家じゃ毎日してたけど・・・・
今は・・・
出来れば剣術はやりたくない・・・・
ソッと胸の拳銃に手を当てると形だけの刀を腰に差した
『刀なんて・・・・絶対握るもんか・・・』
腰にぶら下がる刀を睨みながら麻裕子は呟いた
その瞳はまるで怒りと悲しみで満ちて居る様に揺れていた
*
『・・・・・・なんでマヨラー?』
仏頂面の麻裕子の前に立っているのは隊服に身を包んだ土方だった
麻裕子の反応にッチっと舌打をすると
「俺がここに慣れるまでの教育係だ」
と言った
『マジでェ〜!?こんなマヨ臭い奴と見回りしろってーの!?』
「マヨ臭ってなんだよ!?マヨ舐めてんじゃねーぞ!?」
『テメーはマヨネーズ啜ってそのまま死ね』
「マジお前切腹しろ」
『乙女に向かって切腹だとコラ!?考えて物を言えコラ!』
「乙女が何処にいんだよ?乙女ってーのはお前みて―なガサツな女の事を言うんじゃねーよ!」
『何乙女に夢抱いてんの?お前女子校みた事ないでしょ?男子のいない女の園なんてな猛獣の集まりみたいなもんなんだよ?!』
「んな訳ねーだろ?!」
『あー分かった。十四郎くんは童貞なんだ?だから乙女に夢抱いてんだろ?良い匂いがするとか、体ふにゃふにゃで柔らかいとか、ピーとかピーとか』
「後半伏せ字だらけじゃねーかァァァ!!どんな夢抱いてんだよ!?つか童貞じゃねぇ!!」
案の定言い争いが始まり、2人が見回りに繰り出すまでに30分の時間がかかった
見回る前にすでに疲れ切りながら土方と麻裕子は屯所の門をくぐった
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