Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第2話
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広間を出た麻裕子は縁側まで来ていた
そして素足のまま庭に下りるとぺたぺたと歩いて池の前までやってきた


池の水には満月が綺麗に映っている


それを見ながら再び煙草に火を付けた


ふーっと紫煙を吐くと一面に煙が漂う






麻裕子は池の淵の石に腰をかけ、ゆっくりとその煙草の味を味わった





『・・・はぁ・・・やっぱこうしてる時が一番落ち着く・・・』




ゆらゆらと漂う煙
それはまるで麻裕子の姿を消す様に彼女の周りに漂った








・・・・まさか新撰組が真選組だったなんて・・・ちゃんと調べないでいた自分めっちゃ馬鹿!!!
ってか何?!近藤勲って!!総悟って!!十四郎って!!
まじこの世界あり得ないっつーの!!!




煙草を咥えながらグシャグシャっと髪をかきまわした






彼女が言った"この世界"





そう、彼女城戸麻裕子はこの世界の人間ではない

現代からやってきた異世界人なのだ







『あ〜・・・・どうやったら帰れんのかな・・・』





夜空にぽっかり浮かんだ丸い月を眺めながら麻裕子はふわ〜っと煙を吐き出した

ぼんやりと月を眺めているとジャリっと砂を踏む音が近づいてきた




それに麻裕子は目線を月から下げることなく、その近づいてくる影に向かって口を開いた







『また説教ですか?十四郎くん?』




「・・・・・・なんで俺だってわかったんだよ?」



『そんな殺気漂わせて何言ってんだコラ?つーか、ここで煙草の匂い漂わせてんのアンタしかいないでしょ』



麻裕子は月を眺めながら咥えていた煙草を一気に吸い上げ細くゆっくりとその煙を吐いた
そして吸殻を地面で擦って火を消した



「隠れて煙草なんか吸いやがって・・ヤンキーかお前は!」


『古っ!ヤンキーって古っ!せめて不良って言えよ!?』



そう言うと麻裕子は土方の傍まで寄って行き、彼の持っていた携帯灰皿に吸殻をポイっと捨てた




「仮にも警察がこんな事するんじゃねぇ」



『へいへい。バレない様に気を付けます』


「お前なァ・・・ってお前素足かよ!?」


『あ?あ〜靴取りに行くの面倒臭かったから・・・』



あっけらかんとそう言う彼女に土方は溜息を1つ吐くとシュルっと胸元のスカーフを外して麻裕子に渡した





『なにこれ?これでアンタの首絞めろって?』



「なんで自らそんなデンジャラスな事させるんだよ!?違うわ!これで足拭けって言ってんだよ!?」



『・・・・・やだ、何その優しさ?キモイ!マジキモイ!!!』



「テメー!!人が折角親切心出してやったのに!!!」



『あ〜悪い悪い。でも大丈夫、折角真っ白なスカーフ汚しちゃ悪いから自分のでやるよ』




そう言うと麻裕子はキュッと土方の首にスカーフを巻きなおしてやった
まるで新婚さんの「あなたネクタイ曲がってるわよ〜?」みたいな格好に土方は若干顔が熱くなる




『ほら、出来た』



ポンと出来あがったスカーフを叩くと麻裕子は縁側へと歩いていった
そしてポケットからハンカチを取り出すとぐいぐいと足の裏を拭いた




そして一度土方に視線を向けると



『広間に戻るわ』



そう言って暗闇の廊下に消えて行った



残された土方は短くなった煙草を吸い上げるとくしゃりと灰皿に押し付けた
そして彼女と同じように月を眺めると後を追うように広間へ戻って行った









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