Sword of time-space・時空の刀(完結)

□最終章
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「土方さん、そろそろ会議始まりやすぜ?」



ガラッと副長室の襖を開けたのは真選組一番隊隊長の沖田総悟



「あぁ・・・今行く」



少し眠たそうに目頭を押さえながら土方は書類から手を離した



「お疲れですねィ?その内過労で死んじまいさずぜィ?やったな土方」


「何がやったな、なんだよ?意味わかんねェよ」


ブツブツ言いながら2人は会議室まで足を運ぶ

途中何時もの縁側が目に入った
思わず足を止めそこを見つめる土方
それに気がついた沖田も同じく足を止め、土方の視線の先を見る



「・・・・もぅ2年ですねィ」


「・・・・・あぁ・・・」



あの抗争から2年
土方は毎日毎日、その縁側に来ては煙草を吸っていた



「・・・ったく、何時まで待たせる気ですかねィ?また9年とか待たせるつもりですかねィ麻裕子の奴」


「・・・どうだろうな・・・」


「9年待たせたら土方さんは36歳・・・もし麻裕子が前みてぇに年齢変わらなく戻ってきたらマジ犯罪でさァ、今のうちに逮捕しときやすか?」


「何でだよォォォ!!?別に良いだろ?!年の差なんて!!」


「アンタは良くても麻裕子が可哀そうでさァ、戻ってみたら土方はよぼよぼ、すぐに介護しなきゃなんねェ、夜の営みも無くて不倫に走るのが落ちですぜィ」


「止めてくんない?マジで凹むから・・・」



そう言うと土方は懐から煙草を一本取り出した
もちろん麻裕子が吸っていた煙草の銘柄
そして「少し遅れて行く」と言うと会議室とは逆の方向にすすんで行った
あの縁側の場所へ



それの後ろ姿を眺めながら沖田は小さな声で囁いた


「早く帰ってきなせェ、麻裕子・・・野郎が哀れでみてらんねェよ・・・」


この2年間
彼の傍でその姿を見てきた沖田は彼の気持ちが痛いほど理解出来ていた

最初の頃はロクに寝もせず、寂しさを埋めるためにがむしゃらに仕事をして、過労で何回も倒れた事があった
最近、少しは落ち着いて来ている様にも見えたが、こうやって縁側に行く事は止めない
彼女の影を追って、非番の日は街に出たまま帰ってこなかったりもする
隊士たちの士気が下がるからと仕事には一生懸命なその姿は逆に痛々しくて・・・




沖田は縁側に座り煙草をふかす土方の姿を見ると、一つ溜息を吐いて会議室へと歩いていった





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