Sword of time-space・時空の刀(完結)

□第34話
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昨晩、麻裕子を抱いた


すげえ感動した
女を抱いて、こんなに満たされる気持ちになるなんて知らなかった
そこに愛があると言うだけで
全然違うもんなんだと心底思った


麻裕子ん中は暖かくて、気持ちがよくて、気を抜けば全てを絡め取られるみてぇで

いや、絡め取られてぇと思った
あのまま一つに溶け合って、そしたらお前を離さなくてすむのに・・と



あぁイカンイカン。
仕事中だ、ってか、会議中だ



俺の横に座る近藤さんが山崎から配られた資料に目を向けている
俺も気を取り直してそれに目を向けようとして、ふと、零番隊隊長の席を見た



まだ麻裕子が来てねェ



朝、辛そうだったからな
ギリギリまで寝てろとは言ったが会議が始まっちまう




そう思っていたら、会議室の襖が開いた


そして「遅くなって申し訳ありません」と言う声と共に頭を下げ入ってきた麻裕子
少し辛そうに腰を押さえている
歩き方もどことなく変


その理由を知っている俺は思わず口元が緩む


が、それを見逃さなかった麻裕子が少し涙目になりながら俺を睨んできたので慌てて崩れた顔を直した





「えー、では会議を始める。今みんなに配ったのは昨日の黒づくめの男たちに関する資料だ。山崎詳細を説明してくれ」



近藤さんに促され山崎が返事をして立ち上がった
それを視界に捉えながら俺も資料を見る




「昨日、俺、副長、麻裕子ちゃん、万事屋の旦那が黒づくめの男たちに襲われました。そして同時刻、他の見廻り組、3組も同じような黒づくめの男たちに襲われたようです」



「他の連中もだと?」



「はい、それと数名生き残りがいて尋問で組織を洗い出そうとしたんですが・・・全員自ら毒を飲み自害しました」




死んでも口を割る気はねェってことか・・
これじゃぁ手掛かりがねェな


俺は煙草に火を付けながら資料すべてに目を通して行く




「一応分かっていると言う事は、戦いを訓練されている様な輩と言う事、あと全身を覆っていた黒服ですが、かなり上物の布でした。そんじょそこらの殺し屋や攘夷志士と言う訳ではなく、しっかりとした組織の者かと思われます」



組織ねェ・・・




「手当たりしだい真選組を狙ってるって事は、俺らに対する怨恨かな?なんか恨まれる事したっけ?トシ」



「・・・恨まれる理由なら腐るほどあらァ」




ったく、呑気なもんだぜ
うちの大将さんは・・・

それにしても情報が少なすぎる
これじゃこちらから敵さんを狙いに行く事なんかできねェ
守りに入るしかねェな・・





俺は短くなった煙草を灰皿に押し当てるとこれからの見廻り体勢などについて考えだした


敵の狙いが真選組のみの場合
少人数での見廻りは危険
だからと言ってあまり大人数を見廻りに出しちまったら屯所がガラ空きでそこを狙われるかもしれねェ
精々3〜4人での見廻りってとこか?




その時、重々しい会議室に軽快な機械音が鳴り響いた
そしてワタワタと懐から携帯を取り出す麻裕子




「オイコラ麻裕子、会議中は携帯を切っておけと・・・・」



『す、すいません!あの、でも警察庁からの電話みたいで・・・少し席を外してもいいですか?』




警察庁なら仕方ねェ
俺は近藤さんに目でいいか?と確認を送るとコクンと頷いた
そして麻裕子が会議室から出て行くのを横目で見ながらこれからの見廻り体勢などについて話しだした







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