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□夕轟
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夕轟(意:恋心などのために夕暮れ方、胸が騒ぐこと)
ドキドキ。
ドキドキ。
太陽が真っ赤に染まって、沈んでく。
“まるで、私みたい。”
真っ赤になって、青い海に沈んでいく光景は、まるで私とマルコの様。
戦友として結構長い付き合いだが、何時まで経ってもマルコのブルーの瞳に見つめられると、私は顔を赤く染めてしまう。
マルコは何時も都合良く、それを私が男慣れしていないと解釈するのに、助かりつつも切なくて。
毎夕、海を眺めては思い出して、胸の鼓動が早くなるの。
「また夕焼け眺めてんのかい、リンゴ。」
_ドキンッ
胸が一段と、跳ねた。
「隣、良いかい?」
返事する前に座るくらいなら、聞かなきゃいいのに…なんて思いながら、既に隣に腰掛けていたマルコをチラリと横見する。
_嗚呼、また顔が熱くなってくる
「なァ、リンゴ。夕日ってのは良いもんだ、とは思わねェかよい。」
「へっ?な、何さ、急に。」
「全部赤くしてくれるだろい?」
「…そうね。」
「…顔赤いの、ばれねェで済む。」
…はい?
そろりとマルコを見ると、あのブルーの瞳と目が合った。
「…好きな女と二人きりで、緊張してても、誤魔化せれるからよい。」
恥ずかしげにはにかんだマルコに、また一つ、胸が高鳴った。
黄昏時は胸の高鳴りにご注意を。そういえば
真っ赤に染まった太陽が
沈む時の海も
真っ赤に染まってるfin.