SHoRT

□気宇
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気宇
(意:心の広さ)






ぷくっと頬を膨らますと、貴方は決まって笑いながら、右手の親指と人差し指で両頬を摘む。


ふぅっと空気が抜けた事に更に私が拗ねると、『可愛いねい。』なんて言いながら、頭を撫でるの。


それが嬉しくて、私はマルコ隊長の前だと、必ず頬を膨らます。





「まァた、膨れっ面してんのかい、リンゴ。」



クツクツと喉仏を上下させるマルコ隊長。

そして、何時もの様に頬を摘む様に、口いっぱいに入れた空気を吐き出させた。



「何、拗ねてんだい?リンゴ?」



穏やかに微笑みながら、頭を撫でて、いつもの様に…。



「リンゴは可愛いねい。」



思わず口元が緩む私に、満足そうに笑う貴方は、きっと私の子供染みた行動を、全て理解している。

どんなに仕事で忙しくても、マルコ隊長は私が膨れっ面をすると、必ずこのやり取りをしてくれる。

それが嬉しくて。



「直ぐ終わるから、ちと待ってろよい、リンゴ。」



その言葉に、また私が頬を膨らますと。



「リンゴ、また膨れっ面だよい。」



そうして、貴方の右手が伸びて来た。





今日も私は。


マルコ隊長の優しさに。

マルコ隊長の愛に。


甘えるの。






大人な貴方と、子供な私。







直ぐに子供みたいに拗ねる

心の狭い私を愛してくれるのは

心の広い貴方だけ







fin.



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