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□叶わぬ恋
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叶わぬ恋最近、体の不調が続く様になった。
何なんだろうかねい?
ほら、また、苦しくなったよい。
そんな笑顔、見たくねェ。
いや、違うか。
そんな笑顔を『誰か』に向けるリンゴを、見たくねェ。
また、つきりと痛みが走る。
そんな切なそうな顔、見たくねェ。
いや、こいつも違う。
そんな切なそうな顔して、『誰か』を見つめるリンゴを見たくねェんだ。
気付くと俺は、『誰か』の後ろ姿を見つめるリンゴへと向かい、隣に並んだ。
「…んなに好きなら、告っちまえよい。」
…嫌だ、やめてくれい。
「あいつの事、好きなんだろい?」
…違うと否定しろい。
「多分、あいつもリンゴを、好きだよい。」
…認めたくねェ。
『本当ですか?』と、顔を真っ赤に染めて、リンゴは初めて俺を見た。
そして、嬉しそうに笑って『ありがとうございます、マルコ隊長。』と、『誰か』の背中を追おうとリンゴは走り出す。
…行くなよい。
そんな言葉を出す勇気も無く、引き留める勇気も無い俺は。
リンゴの手を掴もうと一瞬浮きかけた右手を、ぐっと抑えた。
「サッチ隊長っ!」
「ん?どうした、リンゴ。」
「あ、あの…少し、良いですか?」
「へ?あ、あァ、も、勿論っ!」
二人して頬を赤らめる光景は、周りからすりゃァ微笑ましいんだろうが…。
“…リンゴ…好き、だよい。”
俺からすれば、残酷そのもので。
その残酷さに、苦しさと痛みを『胸』に覚えた。
あァ、そうか。
俺は体の不調の原因を、初めて知った。
恋の病って奴かい。叶わぬ恋なら
どうかどうか頼むから
せめて優しく
枯れてほしいfin.