SHoRT
□覚悟しろ
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これはもう、惚れた弱みってやつだ。
致し方無い。
…なんて、海賊の俺が言うとでも思ってんのか?
覚悟しろ目の前ですやすや幸せそうに寝るリンゴに頬が緩みつつも、些か腹立たしく思う俺は。
「…むぅ。」
その柔かなリンゴの頬をつねった。
眉間に皺を寄せながらも、直ぐにすぅすぅと寝息を立てるリンゴに、盛大な溜め息が出たのはしょうがねェ事だ。
「…俺だって男なんだよい。」
寝てるコイツにゃァ聞こえてねェんだろうが、な。
それ以前に、きょとんとしながら『どう頑張ってもマルコ隊長は女に見えませんよ?』とか言いそうだが。
俺の隊員であり、兄弟達から本当に妹の様に可愛がられるリンゴを、妹として見れなくなったのは、何時だったか。
随分と昔だった気がするが、コイツは何時までたっても、俺を兄の様にしか見ねェ。
今まで散々自制してきたが…流石に三日連続、こんなにも無防備な寝顔を眼前に晒されると頭も痛くなる。
っつーか、何でコイツは自分の部屋行かねェんだ。
一昨日に、怖い夢を見たから一緒に寝ても良いかと聞かれた時は、年甲斐も無くドキドキしちまったが…。
「生殺しだろい…。」
惚れた女が目の前にいて、手も出せねェのは正直辛い。
男の事情だ、仕方ねェ。
だからと言って、相手の同意も無く手ェ出す程のガキでもねェ。
「参ったねい…。」
サラリと流れる様に柔らかいリンゴの髪を梳く様に撫でると、リンゴは少し擽ったそうに微笑んだ。
“あァ、こりゃァ無理だ。”
眠るリンゴの唇に、触れるだけのキスを落とす。
一回じゃ勿論足りる訳も無く、何度もリップ音を鳴らす様にして軽い口付けをした。
“これ以上は、流石にやべェな。”
何がだって?
そんなの決まってんだろ?
俺が、だ。
今まで必死に繋いでいた俺の理性が切れちまう。
そんな己の弱みに、ハァと小さく溜め息を吐きながらも、中々悪くないとも思う自分に笑えてきた。
面白ついでに、一つ意地悪してやろう。
寝てるみてェだから、大丈夫だ…と言い聞かせながら、リンゴの耳元に口を寄せて、甘く擦れさせた低音の声で、君に囁こう。
「リンゴ、あんま無防備にしてっと…。」
喰っちまうよい。次はキスだけじゃ
済まさねェ
海賊の俺に惚れられたんだ
覚悟しとけよい、リンゴfin.
裏設定
頬をつねられた時点で、リンゴ様は起きてます。
勿論、マルコもそれに気付いてます。
シャイなマルコ(←)は告白出来ないので、リンゴ様からの告白待ち中。
実は、両思いな二人だったりします。