SHoRT

□最早これは、近所迷惑でしかない。
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「どうしようかねい…。」

うん、俺もどうしよう。


「…参ったよい。」

…俺も既に参ってるんだけど。


「何であんなに、可愛いのかねい?」

え、それ俺に聞いてる?


「…聞いてんのかい?サッチ。」

「ハイ、聞イテマス。」




マルコのきつい睨みに思わず、敬語に片言という絶妙なハーモニーを俺は奏でた。


そんな事を気にする風でもなく、マルコはまた視線をリンゴちゃんへと向けた。

あ、リンゴちゃんって二番隊の隊員でリスみたいに可愛い妹ね。



そんなリンゴちゃんに、マルコは似合いもしねェ恋心なんてものを抱いてる訳で。

しかも、性質悪ィ事にマルコはシャイボーイ(いや、シャイミドル?)で、リンゴちゃんを見てるしか出来ねェの。

って訳で、こうやって世にも恐ろしい顔で笑いながらリンゴちゃんを毎日見つめてるんデスヨ。

お分かりになったかな?レディ達。




だがな、マルコ…。




“…この顔は流石にやばいだろ。”




色んな意味で。




モビー中の空間がピシッと凍り付いたのは、気のせいじゃねェ筈だ。



元々垂れ目なのを、これでもかっっ!ってくれェに垂れさせて。

普段は悪党みてェに吊り上がってるか、怠そうに下げてるかの口元を、これでもかっっ!ってくれェに垂れさせて。

いつもは、気だるそうにしてるか厳しそうにしてるかの表情を、これでもかっっ!ってくれェに垂れさせて。



…つまりは、全てが垂れてるっつー訳。



これがリンゴちゃんとか女の子だったら可愛いで済むが、いい年したおっさんだと気味悪ィだけだ。


もし今、賞金稼ぎやら海賊やらが来たら、皆一目散に逃げ出すだろうマルコの顔の威力は凄まじく、白ひげ海賊団の隊長隊員全員が顔を引きつらせて顔面蒼白。

今、リンゴちゃんとじゃれ合ってるリンゴちゃんの上司でもあるエースは、冷や汗ダラダラで今にも卒倒しそうな顔色。

更には、親父までもが目を逸らす。

勿論、俺も此処から今すぐ逃げ出したい。



そんな思いは露知らず、恋する不死鳥様は繰り返し同じ台詞を、四時間は繰り返している。




「どうしようかねい…。」













最早これは、近所迷惑でしかない。









っつか、世界最強の親父が怯えるって…。

お前、いつから世界最恐んなった訳?







fin.



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