TRiP
□海賊?なにそれ美味しいの?
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Side-M
どうやら、敵船が沈む前にエースを筆頭に二番隊が宝を運び終えていたらしい。
あの後、俺は不死鳥となって捕まっていた女ごと赤髪をモビー・ディック号に運ぶと、甲板は財宝で溢れていた。
それをジョズ達が仕分けしており、その後ろではサッチが算盤片手に食費やら日用品やらの計算をしており。
隣では、仕分けられた宝をビスタが更に細かく指示して各船に割り振っていた。
何だ出来んじゃねェかと仕事の早さに思わず少し感心していると。
「何だァ、シャンクスお前ェ。その小娘は。」
何処か楽しそうな親父の声が聞こえてきた。
その声につられて親父に体を向けつつ、女を横目でチラリと見ると。
“…間抜け面、だねい。”
先程以上の間抜けな顔を拝んでしまった。
まァ、別に拝んだからといって何か良い事があるって訳でもねェんだが。
妙にそれが面白かった為、吹き出しそうになるのを必死で堪えていると、何やら女の視線は親父の口髭へと移り、些か呆れた様な色を瞳に宿していた。
…何か失礼な事を考えてやがるな、ありゃア。
無意識に眉間に皺を寄せて、そのまま女を横目で監視していると。
赤髪が親父に事情を話していた為、俺も適当に相槌を打つ。
すると何故か女の顔が、真剣なものへと変わった…かと思いきや、何故か申し訳なさそうに眉を八の字に垂らした…かと思いきや、何故か視線は親父に向けたままピシリと固まっちまった。
コロコロと顔変わる奴だなと、妙な所に感心を覚えていると。
「お前ェ、名は?」
親父はおもむろに女に尋ねており、女も女で間髪入れずに『モリノミヤリンゴ』という珍しい名を名乗った。
親父も名前を珍しいと感じたらしく、普通に聞き返したのだが。
何故かコイツ…リンゴはひたすら赤髪の腕の中で謝っている。
“…何っつーか…忙しい女だよい。”
若干呆れてくると、親父は豪快にグララララッと笑い。
それを聞いたリンゴはビクリと一つ体を震わせたかと思いきや、ボーッとし出して。
そんな様子を見て、余りにも忙しない女が居たモンだと考えていたら。
「面白ェ女だ。ウチの船に乗るか?」
「あ、はい。」
「ほォ…嬢ちゃん、海賊になるのか。」
親父が爆弾発言をして。
リンゴも爆弾発言をして。
赤髪が感心していた。
いや、は?え?何だって…?
俺が頭上に疑問符を浮かべていると、何故か即答で了承した筈のリンゴまで、俺より遥かに多い疑問符を飛ばしていた。
コイツは馬鹿なのか?と変に心配になってくるのは、何故だろうか…?
本気で呆れを通り期して脱力していると。
どうやら、全てを理解したらしいリンゴは驚愕に両目を見開き。
そのまま、気絶した。
…まァ、よく分からねェ女だが…分かる事が一つだけある。
…どうやら俺は、最高に面倒臭ェ拾いモンをしちまったらしい。