TaLe

□CLaP 10
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※一万打感謝企画拍手連載フリー配布。
※長編ヒロインのアリスパロディです。












「白兎…ねぇ。」

「ぶつくさ言ってねェで、さっさと追えよいアリス。」

「五月蝿いチェシャ猫。てか、白兎何処よ?」

「…それを探して追えっつってんだろい。」


先程からこの様なやり取りしているのは…。


一方は水色のパフスリーブの半袖ワンピースにフリルをあしらった白いエプロン、ワンピースとお揃いの水色のヘアドレスを着用した少女。

その名はアリス。


そしてもう一方は、南国果実を彷彿させる金髪に気だるそうな碧眼に無精髭、紫とピンクのボーダーのロング丈の長袖シャツに同じ柄の細身パンツを身に付けた男。

名はマル…いやいや違ェ違ェ!あー…その男の名はチェシャ猫。

それにしてもお前、猫耳と尻尾似合わねェな。

「…ほっとけい。」

あ、そう。

取り敢えず話を戻しまして…何故、二人がこんな事になってるかと言うと…。





普段通り昼寝をしていたアリスの前に、三日月の立派な髭を持ち、何故か兎の耳の生えた大きなお爺さんが現れて。


「グララララッ!随分寝坊助じゃねェか、さっさと起きやがれ馬鹿息子!」

「いや、私女なんd「細けェ事は気にするなアリス。」…え?何で名前アリス?」

「グララララララッ!んな事ァ知らねェ!ホラ、さっさと来い!」

「いやいやいや知らないって。ってか、来いって何処に。」


流石親父!!細けェ事は気にしねェデカい男!!男ん中の男だぜ!!!!

ちょ、待て待て!悪かったって!!ちゃんと読むからリーゼントから手ェ離せっての!!

ゴホン…えー…と、アリスのそんな質問も彼は何処吹く風。

さっさと窓から外へ…え?体デカい親父が窓から出れるのかって?そんな質問は野暮ってもんだぜ!


まぁ、それより彼は外へと行ってしまいましたから、アリスも大変!彼を追わなくては!

「いや、だから何で。」

良いからさっさと追え!話が進まねェから!!ちょ、何その面倒臭そうな顔…?!

「私寝てたんですが?」

知ってっから!!知ってっけど追わなきゃ次行けねェから!!

「次って何よ?」

さっさと追えェェェェエエッッ!!!!

親父待ってっから!!マルコも出番待ってっから!!

あ、ジョズ!ちょいCM入れて!



※暫くお待ち下さい※




…はァ…では、続けます。

アリスは彼を追って窓から飛び出すと、彼はニヤリと笑って。


「俺ァ白兎。ちゃんと付いて来い!アホンダラ!!グラララララッ!」


何と格好良い台詞…!私サッチは、これからも一生親父に付いていきます…!!

あ、いや、ちゃ、ちゃんと真面目にやっから!んな怒んなよマルコ!!


そう白兎は言って、身を翻して森へと。

アリスもそれに続き…って、早く続けェェェエエッッ!!座ってんじゃねェ!


「あー…はいはい。待ってー白兎ー。(棒読み)」


…ア、アリスは必死に白兎を追って、森へと入りましたが、既に白兎の姿は見えません。


ん?親父デカいのに見失う訳ねェって?だから、そういう質問は野暮だっつってんだろうが!エース!!『えェ?!』じゃねェ!!

ったく…アリスは白兎を探し…ってアリス何Uターンしちゃってんのォォォォォオオオオッッッッ???!!!!

「え、だって怠いし。」

おま…だから親父待ってんだって!帰るな!親父を待ち惚けさせる気かっっ!!

「それは嫌。」

だったらさっさと親父探して来い!!

「はーい。」

あー…もう疲れた…はい、アリスは白兎を探しに森を進むと、不意に上から声が聞こえてきました。

不思議に思ったアリスは、上を見上げると其処には…。


「これはこれは、アリスじゃねェかよい。」

「あ、マルコさん。」

「…俺はチェシャ猫、マルコじゃねェ。」

「いやマルコさんじゃn「マ ル コ じ ゃ ね ェ よ い。」はい、左様で御座居ました申し訳有りません怒りをお納め下さいマrいやチェシャ猫様。」

「分かりゃァ良いよい。」


流石チェシャ猫、アリスの扱いを熟知しております。

その術を是非教えて欲しいくらいです。


木の枝に寝そべりながらアリスを見下ろしていたチェシャ猫は、ヒラリとアリスの目の前へと舞い降りてきました。

そして、右手を差し出して言いました。


「俺はチェシャ猫、アリスに道を示す者だよい。」

「…頭打った?」

「…此処は先進まねェから話に乗れよい。」

「ハイ。」

「さァ、一緒に不思議の国へ行くよい!俺達のアリス!!」

「わぁー不思議の国だー。(棒読み)」

「…はァ。」


何故でしょう?私、思わず溜め息を吐いてしまったチェシャ猫の気持ちが痛い程分かる気がします。

それはさておき、チェシャ猫は自身を『アリスに道を示す者』と言いました。

それはどういう事なのでしょう?アリスが疑問に首を傾げていると、チェシャ猫はアリスに差し出した右手とは逆の左手で、ある場所を指し示しました。

そこには、人が一人通れるくらいの穴がポッカリ空いています。


「この先に不思議の国が在る…白兎も向こうに行った筈だい。」

「え?白兎も?あの体で?この穴通って?」

「…そういう質問は野暮だってのが、分からねェのかいアリス?ん?」

「はいそうでした軽はずみな発言でしたすみません申し訳御座居ませんでした。」

「ホラ、さっさと其処から落ちろよい。」


チェシャ猫の(上っ面は)爽やか(だが、その下には鬼の形相が隠れている)スマイルを向けられたアリスが萎縮した隙に、チェシャ猫はアリスの背中を軽く(とは言え、チェシャ猫の軽くは一般人の全力の遥か上をいく程の力で)押しました。

勿論アリスは重力に従って、穴の中へと落ちて行きます。


「うぁっと…って、ぃいいぎゃぁぁぁぁあああああっっっっっ!!!!」


穴の中を転がっていくアリスは、色気の無い叫びを上げています。

本当に色気ありません、色気が全くの0です…本当に女かよ。


_ドガッ!


あー…随分鈍いイイ音したな、コレ。


「…何してんだい。」


チェシャ猫も呆れていますが、私も呆れてます。

因みにチェシャ猫は穴とは別の場所から現れた様です。


「ちょ、おま、どっから涌いた?!!」

「ん?あァ、其処の梯子だよい。」

「梯子あんなら先に言えぇぇぇぇぇぇぇえええっっっっ!!!!」

「お前ェが先に行ったんだろい?」

「アンタが問答無用で落としたんだろうがぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」


…と、取り敢えず先進まねェから続き読むぞ?お前等。

えー…穴に落ちたアリスが周りを見渡すと、其処は鬱蒼とした森が広がっていました。

太陽の光も届かない様な森の不気味さに、ブルリとアリスは一つ震えましたが、視界の端に白いものが…。

草の間から白兎の耳が覗いているではありませんか!

「耳どころか全身覗いてるけど?」

そこツッコミ入れない!!!!

「親父のデカさじゃ仕方ねェだろい。」

親 父 じ ゃ な く て 白 兎 !!!!

「ハイハイ。」 「よいよい。」


何その適当加減??!!

白兎追う気あんの?!!お前等!!???

「私初めから無かったじゃん。」

いや、そうだけど!!

ちょ、アリスの台詞で親父肩落としちゃってんじゃん!!

「早く白兎追うよい!アリス!!急げ今すぐ死ぬ勢いで急ぐんだよい!!!!」

流石一番隊隊長!!流石親父至上主義!!さっさとアリス連れてけ!!!!

「待ってろよい親父!必ず…必ず追い付くからよい…!!!!」

「グララララッ!あァ、早く来やがれ…馬鹿息子共!!」

「…親父!!」


何たる感動のワンシーン!!私サッチは感動の涙で前が見えません!!!!アリスにもこの感動を…って、アリスまさかのデカい欠伸!!!!


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっっっ!!!!」

「その根性の図太さは褒めてやるよい…。」

「あああああああごめんなさい本当にごめんなさいごめんなさいいいいいっっっ!!」


チェシャ猫に両拳でこめかみをグリグリされたアリスは、涙目でチェシャ猫に許しを乞います。

ふぅと溜め息を吐いたチェシャ猫は、手を離してから白兎の消えて行った方向を見つめました。

そして、真面目な顔をしてポツリと言いました。



「白兎はアリスを招き導く者。お前ェの…俺達のアリスの在るべき姿の導きとなり、アリスの望むべきものへの導きともなる。」

「…どういう事?」

「アリスの望みは俺達の望みなんだよい。だから、白兎の導きは俺達の導き。」



チェシャ猫の余りの真剣な表情に、アリスはドキリとしました。

アリスがそのままチェシャ猫をみつめていると、ふっとチェシャ猫は優しく笑いました。




「俺達のアリス、お前ェが望むなら、お前ェの思いの儘に。」




そう言うチェシャ猫の微笑みには、優しさの中にも僅かに切なさを宿していました。

アリスは胸にツキリとした痛みを覚えて、そして静かに立ち上がります。


「チェシャ猫…追おう、白兎を。」

「アリスが望むなら、俺は道を示すまでだよい。」


そう言ってチェシャ猫は、再び右手を差し出しました。




「ようこそ、不思議の国へ…俺達のアリス。」




その手を今度こそアリスはしっかりと取りました。








To be continue.
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