TaLe

□CLaP 8
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冬の最大イベントに私は賭けているのだ!…と言っても、此処は季節なんて無関係なグランドラインで。

恐ろしいくらいに空気を読まないこの偉大なる海は、現在夏島海域に入っている。



でも、季節は違えど暦は変わらない!

暦によるとあともう少しで12月24日…俗に言うクリスマスイブとかいう恋人行事が始まるんだ!



…ん?クリスマスイブは神の子の生誕前夜祭だ?

知るか、んなモン。


罰当たりだろうが何だろうが、神様がナンボのモンだっつーの!

恋する乙女に、そんなモン関係無いっっ!!





「…という事で、デートしましょう!マルコ隊長!!」

「次の上陸予定は、クリスマスとっくに過ぎてからだよい。」


もうっ!照れ屋さんなんだからっ!

デートが恥ずかしくて上陸しないんですよね!


でも、それも想定済みなんだぜ!

シャイな(筈の)マルコ隊長の為に、私が完璧なプラン立てたんですから!


「イブの朝は、マルコ隊長を起こしにベッド潜り込みますね!」

「イブに限らず、いつもだろい。」

「何を言いますか!クリスマスイブバージョン2011ですよ!いつもは潜り込む前に隊長ったら恥ずかしがって離しますが、イブには抱き付きます!」

「まず恥ずかしがってねェし。それに、抱き付かれる前に蹴り飛ばしてやるよい。」

「あわよくば、マルコ隊長の全身を撫で回したい…!」

「話聞けよい、この痴女。」


痴 女 だ と ?!


昔、マルコ隊長言ってましたよね?

男を知らなさそうな清純派の女よりも、遊びを知っているセクシーで色っぽい女の方が好みだと…!


つ、つまりは…!


「私が好みって事かっ!」

「セクシーと変態を履き違えるんじゃねェよい。」

「何故私の思考を…ハッ!まさかのテレパシー!??」

「…口からダダ漏れだったが?」


な、何だと?は…恥ずかしい!!

でも、そんなの気にしない!!


「いや、気にしろよ。」

「サッチ隊長?!どこから湧いたんですか!ってか、聞いて下さいよ!マルコ隊長ったら恥ずかしがって首を縦に振ってくれないんですぅ!」

「うん、言いたい事は分かった。十分伝わったから取り敢えず、まずは仕事して来い。エースが探してたぞ?」

「エース隊長…?あっ!報告書の手伝い!!」


デートプランに必死になり過ぎて完全に忘れてた!

くっ…マルコ隊長との別れは物凄ぉく悲しいが、自分の仕事は自分の仕事だ!


急いでエース隊長のトコ行って来なきゃ!



「マルコ隊長!私がいないからって寂しがらないで下さいね!」

「いや、清々するよい…って、もういねェ。」



怒涛の如く消えてったアイツが、毎日毎日マルコに愛の告白とやらをする様になって、早五年。


まァ、マルコも告白されて嬉しくねェ訳ねェとは思うんだが。

アイツは全く話聞かねェし、勘違い甚だしいし、妄想が激し過ぎる上に、変態さは俺以上。


「何っつーか、アイツは女として残念だな。」

「それは失礼だろい、サッチ。頭が残念なだけで、顔も体も残念なだけだい。」

「お前のが失礼だろ、マルコ。」


頭も顔も体もって、ほぼ全部じゃねェか。

まァ、否定は出来ねェんだけど。



でもさ、マルコ。



アイツはいつだって、自分の感情に馬鹿なくれェに素直で。

だからいつだって、お前に自分の気持ちを全力でぶつけて。

それを軽くマルコに流されても、負けずにぶつかって。

たまに、涙流しちゃったりして。

それでも、自分で涙拭って笑って。

またぶつかる様な可愛い妹だって、本当はずっと昔から知ってんだろ?

そんな可愛さ知ってる奴は、マルコだけじゃねェんだぜ?



「そういや…ビスタんトコの隊員も、アイツの事『いつも全力な所が健気で可愛い。』っつってたな。」

「…ビスタんトコの隊員、『も』?」

「そ。その隊員『も』、だ。」



やけに『も』を強調すると、マルコは苦虫を噛み潰した様な顔をした。

…んな顔するぐらいなら、素直になっちまえば良いモンを、このオッサンはそれをやろうとしない。

何故なら…。





「…もうちィっとばかし可愛がってやったら、デートの一つでもしてやるかねい。」





何?その上から目線。


アイツの必死さが可愛過ぎるモンだから、恋する年も当の昔に過ぎ去ったオッサンは。

恋独特の甘酸っぱい想いを、まだまだ味わいてェらしい。



…ったく、お前は本当にイイ性格してるぜ。








恋の味に魅了されたオッサン








そうやって余裕ぶってっと

ひょっこり現れた若造に

あっさり横取りされちまうぞ?









fin.















結構、アホで残念なヒロインが可愛くて大好きなんです


時間あったら、イブ当日編も書きます!

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