TaLe

□CLaP 7
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一つとや

独り泣く泣く彼の場所で

差し出された手暖かく

これ 暖かく


二つとや

初めて出来た家族とは

むず痒くとも幸せで

これ 幸せで


三つとや

弱き身体は頼りなく

君の背中が逞しく

これ 逞しく


四つとや

世の善悪は知らないが

その誇りだけが真実で

これ 真実で


五つとや

捨てた命を再度手に

次は貴方に捧げよう

これ 捧げよう


六つとや

目に映しては熱くなる

聞こえてくるよ高鳴りが

これ 高鳴りが


七つとや

月見酒には酔わずとも

君の笑顔に酔いしどれ

これ 酔いしどれ


八つとや

秘めし想いも零れ出し

流した涙数多く

これ 数多く


九つとや

好いた惚れたと告げられて

巡り広がる激情よ

これ 激情よ


十つとや

明日の補償は出来ぬ身で

君との未来に夢を見る

これ 夢を見る











「おや、数え歌かい?お嬢。」

「あら、イゾウ隊長はん。数え歌知ってはるの?」

「お嬢と同じで、俺もワノ国出身なモンでな。」



フフッとお嬢は柔らかく笑った。



白ひげ海賊団入りする前は、ワノ国の姫さんだったお嬢。



そんな身分の高いお嬢は、苦労知らずの箱入り娘だと思いきや。

実際は籠の中の鳥で。



無駄に大きな屋敷の奥座敷で、いつも一人泣いていた。





皇族との縁談に躍起になって、お嬢に見向きもしない両親に。

身の回りをしてくれる侍女は、仲良くしてくれる訳でもなく、ただ淡々と仕事をこなす。





生まれた時から乳母に預けられ、両親の温もりを知らず。

周りからは高値の様に扱われるせいで、友達も居らず。



ずっとずっと独りで泣いていたお嬢を見付けたのは、エースだった。





どういう育ち方をしたのかは知らねェが、野生児そのもののエースに。

最初に惹かれたのは、お嬢の方だった。



それからは一途にエースを想い、エースを慕うお嬢に。

俺は勿論だが、親父を含めた家族全員で、お嬢の恋を見守り応援していた頃が懐かしいモンだ。





何故懐かしいかって?

そいつァ勿論…。





「あ!姫ェーっっ!!」

「エースはんっ!」





おっと…王子様の登場みたいだな。

それじゃァ、邪魔モンの俺はさっさとお暇頂くとするかねェ…。





そうそう。

何故懐かしいのか、お前さんは分かったかい?



答えなんざ、簡単だろ?一つしかねェ。








姫と王子が結ばれんのは、お伽噺の定石だろ?








寧ろ先に惹かれたのは

エースの方だと思うがねェ…


だって、そうだろ?


欲しいモンしか奪わねェ筈の海賊に

お嬢は奪われちまったんだから









fin.















何となく数え歌が書きたかった、ただそれだけ←



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