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□CLaP 6
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『Trick or Treat ?』 今日は一段とモビーは賑やかだ。
全員して包帯巻いたり、化粧したり、変わった服装をしたり…。
そんな今日は十月の終わりの日。
つまり、今日はハロウィンだ。
「お!とんがり帽子あんじゃん!」
そう言いながら、嬉々として帽子を頭に被せるエースを横目に、俺も自分が着る衣装を漁る。
この年になって仮装なんざ面倒臭ェが、これは毎年恒例の白ひげ海賊団ハロウィンの宴。
まァ、仕方ねェ。
「んな事言って、結構毎年楽しそうだよなマルコ。」
「…るせェよい、サッチ。」
ニヤニヤしながら顔に黒い水性ペンか何かで縫い傷跡を書いているサッチを軽く睨んでから、俺は牙を口に入れた。
耳もとんがったヤツにして、黒いパンツに白いシャツに赤いタイを付けて。
真っ黒のマントを羽織れば、完成だ。
「マルコはドラキュラか!」
「エースは…ウィッチは女じゃねェのかい?」
そうなのか?と首を傾げながらも、直ぐにまァいいやと楽しそうに走り回る魔女の格好をするエースに苦笑した。
粗方自分の準備が終わって、周りを見渡すと。
フランケンシュタインのサッチに、狼男のジョズ。
ビスタは包帯ぐるぐるのミイラ男らしい。
「コレは動き難いな…。」
体を動かしながら苦笑するビスタに笑いながら、他の隊長等も見渡す。
…やけに死神衣装が似合ってんな、イゾウの奴。
そんな感じで感心しながらキョロキョロとアイツを探すと。
「 Trick or Treat ?」
後ろからふんわりと優しい香りに包まれた。
ニヤ付きそうになる口元を押さえながら、ゆっくりと後ろを振り返ると。
「随分と可愛い格好してんじゃねェかよい。」
黒い猫耳に黒い尻尾を付けた猫娘がいた。
楽しそうに笑う口元には、牙がチラチラと見えて。
それがやけに妖艶だ。
「お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞー!」
そう言って、長い黒とキラキラした石で飾った付け爪で俺の頬を軽く引っ掻く猫娘に。
俺の口角は自然と上がる。
そのまま手首を掴んで、ゆっくり引き寄せて。
手首に口付けながら、上目遣いで見つめると、コイツは直ぐに頬をサッと赤らめやがる。
…そういやァ、手首へのキスは欲望のキスだったな、なんて思いながら。
あながち間違っちゃいねェかと一人納得して、猫娘から言われたハロウィンの決め台詞に対して答える。
「悪ィが今は菓子なんざ持っちゃいねェよい。」
クツクツと喉を鳴らして笑うと、更に赤くなる猫娘に、此方からも一つ悪戯してやるか。
ホラ、早く悪戯しろよいお前ェに菓子はやらねェから
可愛く俺に悪戯してくれ
それとも
俺が悪戯してやろうかい?
例え菓子を渡されようが
んなモン即返品だ狼マルコに食べられるのも美味しいと思います←