TRiP

□朝食後の団欒
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何故だろう?

このドキドキは。


中学の時や高校の時に味わった様な、この感覚。





それを感じる相手がちびマルコだなんて、私は認めない。


断じて認めたくねええぇぇぇぇぇええっっっっ!!!!





そんなこんなで、食堂の人の少なさをサッチさんから聞いた私。

どうやら島への上陸が近い事から、三番隊と五番隊が上陸準備をしているらしい。


今回は二泊三日の停泊。


モビー・ディック号の在庫管理と必要物資の調達リスト作り、そしてその買い出しは毎回全て一番隊が担当で。

船番は毎回ニ番隊と四番隊が交代で、今回は初日の船番がニ番隊、二日目が四番隊。

そして、上陸準備と出航準備は三番隊と五番隊が毎回やるんだと。


そう言えば海賊って規律だとか、そういうのしっかりしているって本に書いてたなぁと思いながら、一番私が気になってる事を聞いてみた。


「私ってどうすれば良い系?」

「リンゴちゃんは今日はメアリちゃんとセイラちゃんと買い物して、そのまま島の宿で泊まれば良い系ー。」


サッチさんが『俺も混ざりたい系っ!』と言って、ちびマルコにリーゼントをぐしゃりと…。



あーあ…。



「明日は明日で休みのナースが適当に相手すると思うが、今日はメアリとセイラが休みなんだよい。」


女である私に必要な物は女であるナースが一番よく分かるだろうとの事。

まぁ、確かに(どっからどう見ても堅気じゃない)男と二人で島デートもちょっと困る。


「あれ?そういえば昨日は他の隊もいた様な…。」

「あァ、モビーは白ひげ海賊団の本船だから、大抵は一番隊から五番隊が乗ってんだよ。他にも三隻船あってさ、そっちに普段は他の隊が乗ってんだ。」


定期的に隊ごと遠征で離れたりもするが、基本的には一から五番隊がモビー・ディック号で。

本船より一回り小さい白ひげ海賊団の船に、六から九番隊・十から十三番隊・十四から十六番隊に分かれて乗っているそうだ。


他にもパドルシップと呼ばれる横に外輪の付いた船も一隻あるらしいが、それは遠征時に使うらしく、普段は全隊の隊員が日替わりで交代して整備がてらに乗っているんだと。


エース君がそう説明してくれた。


「じゃあ昨日は?」

「昨日はリンゴの歓迎の宴だったからなー。隊長だけは集まったんだけど、流石にモビーに1,600人は乗れねェからな。」


エース君が苦笑しながら言った。



つまり、昨日は全隊隊長はモビー・ディック号に集まったが。

隊員は普段過ごす船で宴をやっていたらしい。



そうか、そうか…そうだったのか。

隊が十六あって1,600人って事は、一つの隊が百人か。

じゃあ、この船には五番隊までだから五百人乗ってるのか。


あんなにいたもんな昨日。

そうだったのか。





「…って、ええぇぇぇぇぇええっっっっ!!???」

「何だよい。」

「この船に五百人も乗ってんのっっ???!!」

「そうだよい。」


ちびマルコに、だから何だという顔をされた。




いやいやいや、驚くだろ普通。




どんだけ乗せてんだモビー。

どんだけ頑丈なんだモビー。

重くても絶対沈むなよモビー。





悠々と大海原を行くモビーの凄さに感動と不安を覚えていると。

何やら外が騒がしくなった。





「島が見えたぞぉぉぉぉっっっっ!!!!」





外から聞こえたその言葉に、周りの皆が何処か浮き足だった。


「やっと陸かァ…。今回の航海は長かったなァ。」


サッチさんがしみじみとしながら言うと、周りはウンウンと頷く。


「さァて、明日船番だからチャンスは今日だけか…。おいマルコ!夜付き合えよっ!」

「あァ分かってるよい。」


二人してニヤリと悪そうな笑みを浮かべている。


うん、怖いよ君達。


「今日は俺、船番かァ…。」

「エースは明日があんだろっ!つか、お前島降りても食いモンしか興味ねェだろ。」

「いや、冒険がある!」

「あ、そう。お子ちゃまでちゅねー。」

「な…っんだよっ!!冒険しちゃ悪ィのかっ!!」

「そんな事無いですー。」


目の前でエース君とサッチさんがわぁわぁ騒いでいるのを見ながら、横目でちびマルコを見てみると。





昔、動物園で見たライオンとか虎とかワニとか。

そんな野獣を彷彿させる様な目をしていた。





うん、やっぱりコイツが一番怖い。
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