TRiP
□THE☆女子会
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宴が始まってから暫くはエース君からの質問攻めに遭っていたが、それに終止符を打ったのはメアリさんだ。
やはり男という生き物は、こういうセクシー美女に弱いのか…と思いきや、エース君の笑顔は引きつっていた。
いや、何と言いますか…その気持ちが痛いくらいに分かります。
女王様の前じゃ誰でもひれ伏しますよね、分かります。
色っぽく弧を描く口元が怖いですもんね、分かります。
メアリさんは恐らく、隊長軍団よりも上に君臨しているだろうと、しみじみ思っていると。
「さ、リンゴ。こっちで女同士飲みましょ?」
あぁ、拒否権は無い系ですね?
それも分かります。
バイトで散々味わってきた、形だけは疑問系で実質命令系ですね。
「リンゴ!やっと来た!」
そんな愛くるしい笑顔で言われたら本気で照れちゃいますリードさん。
可愛らしく手招きするリードさんの隣では、これまた可愛らしく桃色なカクテルを飲んでるセイラさん。
その隣では(夜になったからか)サングラスを外したインテリジェンスビューティーなポートさんとクールビューティーなマリーさんがワイングラスを傾けて乾杯している。
向かい側にはグレイスさんがお猪口に口を付けて上品にお酒を飲んでいて。
私はそんなグレイスさんの隣に着席させられた。
勿論、反対隣はメアリさん。
…何だハーレムか此処は。
「…で、リンゴは恋人いるの?」
そんな質問を投げてきたのはリードさん。
ちなみに、『…で、』って何に続く『…で、』なのでしょうか?
「やっぱり海の男?」
え?『やっぱり』って何?
海の男なんぞ(自分の世界ではだが)関わった事一度も無いんですがポートさん。
「あー…でも海は海でも海兵は駄目よね。ワイルドさが無いもん。」
「同感。」
いやいや、私はお付き合いするなら堅気の海兵の方が歓迎ですよセイラさん。
同感しないで下さいマリーさん。
「私も海の男なら、海賊が一番好きです。」
大和撫子みたいな顔して何言ってんですかグレイスさん。
「グレイスは『海賊が』じゃなくて、『イゾウ隊長が』でしょ?」
へぇー…そうだったんだ。
メアリさんは物知りだな…そうかそうか、グレイスさんはイゾウ隊長さんと…。
「ええぇぇぇええっっっ??!!」
「あら、知らないの?」
何を『当然ですけど?』みたいな顔して言ってんですかマリーさん。
寧ろ、今日こっち来たばっかりなんだから、初耳で当たり前でしょうよ。
だから、『誰からも教えて貰えなかったの?可哀想…。』的な哀れみの目は止めて下さい皆さん。
「まぁ…取り敢えず、イゾウ隊長は駄目よ?リンゴ。」
いや、初めから狙ってませんよリードさん。
「あっ!リンゴはエース隊長とか良いんじゃない?エスコートされてたし!」
首根っこ掴まれる『えすこーと』は御免ですセイラさん。
「確かにエース隊長が一番歳近いわね。」
何賛成しちゃってんですかマリーさん。
「意外にサッチ隊長とか面倒見良いから、リンゴには良いかも!」
確かに面倒見て貰えるのは大歓迎だが、サッチさんの意志は無視ですかポートさん。
「駄目よ、サッチ隊長は女関係だらしないもの。」
それなら心からサッチさんは遠慮させて頂きますグレイスさん。
「あら?私はマルコ隊長が一番の大穴だと思うけど?」
それ一番有り得ませんメアリさん。
ってか、大穴って…。
「…それ、私が誰とくっ付くか賭けてます…?」
「「「「「「勿論。」」」」」」
はっきり肯定しやがったぁぁぁぁぁああああっっっっっ!!!!
え?私そんな風に見えてたの?
男に飢えてる様に見えるの?
いや、確かに彼氏長い事いないし、飢えてるっちゃあ飢えてるんだろうが。
「いえ、私、そんな…誰かとどうこうなりたいなんて…。」
「思いなさいよ?リンゴ。」
マリーさんの微笑み出たぁぁぁぁぁああああっっっっっっ!!!!
怖いですマリーさん怖すぎます。
それ以前に、私がこの船の誰かとくっ付かなきゃいけないってのは確定?
え?私の意志は?
そして、私の(いるのかは知らないが)パートナーの意志は?
取り敢えず、ナースのお姉様方の賭けの予想は。
マリーさんとセイラさんとグレイスさんがエース君。
…一番有り得るかと思われます。
ポートさんがサッチさん。
女関係の話聞いちゃったので無いです。
リードさんがイゾウさん。
略奪愛とか面倒なのは嫌なんで無いです。
メアリさんがちびマルコ。
悪いのですが、一番無いです。