TRiP
□災難だらけの厄日
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一難去って、また一難。
そんな事よく言うが、さっきからその一難が生死を問う様なものってどうなの?
あれから暫くしてから、いきなり映画か何かと思う様な爆撃音?砲撃音?がして。
何か物凄い騒がしくなったかと思うと。
何やら床が水浸し状態になった。
はしたないとは思いながらも、嫌ぁな予感がして、その水を恐る恐るペロリと舐めてみたら…塩っぱい。
あは☆コレ、海水じゃん♪
じゃねえぇぇぇぇっっっっっ!!!!
沈んでんじゃん船!!真っ直ぐ海底まっしぐらコースじゃん!!
デービー・ジョーンズのロッカーにまっしぐらコースじゃん!!
体起こしたくても、後ろ手にカイロウセキだかホッカイロだかの手錠させられてる上に、漫画でしか見た事無い様な丸い鉄の塊と首が繋がっているから起き上がれない。
その前に裸だし!
いや、命には替えられないし、俯せだから見られても尻だけだ!!
こういう時は、アレだ。
叫べば良いんだ!!!!
「誰かああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!」
ゼェゼェ息を吐きながら、私って意外と大声出せるんじゃんと感心。
…してる場合じゃなかった。
よし、もう一度。
すぅっと息を吸って、もう一度声を張り上げようとした。
_ドガシャァァァアアンッッッ!!
次は何だ。
そんな馬鹿デカい破壊音がした方向へ顔を向けると。
「嬢ちゃん平気か?」
赤い髪をした右目に三本傷で片腕の男が、右足を振り上げた状態で立っていた。
絶っっっ対コイツも堅気じゃないっっっっっ!!!!
怖いマジ怖い無理無理もう無理私気絶します。
その男の後ろには、何か青い炎がユラユラ見えるし。
もう脳内許容オーバーです。
ただただ唖然としていると、赤い髪の男がツカツカと近付いて来て。
「海楼石じゃねェか…今、外してやる。」
と、バキッと素手で破壊した。
え、何その握力?おかしいよね?コレおかしいよね?!
それを呆然と見やっていると、もう一人の男が近付いてきた。
…青く燃えているのは、気のせいですか?
冗談みたいな幻は、そのふざけたパイナップルヘアーだけで終わってくれ。
「随分な間抜け面だねい。」
何?私が悪い系ですか。
いやいや私は悪くない、至って普通な筈だ。
「マルコ、身ぐるみ剥がされた上に、こんな状況だ。仕方無いだろ。」
「…まァ、赤髪の言う通り…災難としか言えねェな。」
いやだから、一番のツッコミ所は其処じゃない。
今はもう消えたが、あの炎は何だ。
其処一番ツッコむ所だよね?そうだよね?
「取り敢えず、白ひげの親父さんとこに連れてくぞ?」
「仕方ねェ、早くずらかるよい。さっきから海水で力出ねェんだい。」
「ハハッ、能力者は大変だな。」
「…うるせェよい。」
よいよいじゃねぇよ。
何が何だか分からないんですが?説明しろや。
そんな事思っても勿論チキンな私が口に出せる筈も無く、私は赤い髪の男のマントにくるまれて横抱きされた。
…生まれて初めてお姫様抱っこされたのに、ときめかないのは何故だろう?
「それにしても…貧相な体してんなァ。」
「あァ、飯食ってねェんだろい。」
いえ、毎日三食食べてます。
取り敢えず、恩人に対してあれだが…この二人、失礼だろ?
マルコと呼ばれていたパイン野郎にジトッと目線を向けると、不意に目が合って。
「…敵なら即沈めるよい。」
そう言われて凄まれれば、背筋を凍り付かせるしか無い。
うん、本当に災難だった。
そして、これからもきっと災難だ。